「NISA」をやるならデメリットも把握する
「NISA(ニーサ)」とは、金融商品ではなく、「NISA口座」という金融口座の名前です。
通常の証券口座での取引は、投資商品を売って利益を得ると、利益に対して20%の税金(所得税・住民税)がかかります。さらに、2037年までは、ここに復興特別所得税0.315%もかかります。
けれど、この口座に入っている金融商品は、売って利益が出ても税金がかかりません。ですから、銀行や証券会社で買った株や投資信託を入れておくのです。
たとえば、100万円の株を買って、これが150万円まで値上がりしたので売ったとします。利益が50万円出るので、通常の口座に入っていると利益の約20%、つまり約10万円が税金として引かれます。
けれど、「NISA口座」に入っていれば、利益が出ても課税されないので、50万円が丸々手取りになります。
ただ、投資商品は、値上がりすることもありますが、値下がりすることもあります。
では、100万円で預けた株が50万円に値下がりしたらどうなるでしょうか。
「NISA口座」は、基本的には投資商品を5年で引き出さなくてはなりません。そして、引き出した時の株価が取得価格となるので、100万円で買った株が引き出す時に50万円だと、50万円で株を買ったということになります。
ですから引き出した後、株価が100万円に戻ったら、50万円で買った株が100万円に値上がりしたとみなされて、増えた50万円に対して約10万円の税金を払わなくてはなりません。
もともと100万円で買った株を100万円で売るので利益はないはずですが、税金を10万円も払わなくてはならない。つまり、「NISA口座」は、株が上昇していればおトクかもしれませんが、値下がりすると損をする可能性があるということです。
「NISA」には、少額を積み立てていく「つみたてNISA」もありますが、「つみたてNISA」は選べる商品が少なく、選んだ商品を途中で他のものに切り替えることができません。いったん売却して他のものを買うことになり、そこで節税効果も消えます。
もし投資するなら、こうしたデメリットも知っておきましょう。
ちなみに、2024年からは新NISA制度が始まり、内容が少し変わります。
「預金」は銀行にとってリスク、預ける人にはノーリスク
退職金が銀行口座に振り込まれると、今まで会ったこともない銀行員から、「私が○○様の担当になったので、ご挨拶に伺いたいのですが」などという電話がきます。
銀行は、みなさんの口座を預かっているので、誰が、いつ、どこから、どれくらいのお金を振り込まれたかを知っています。
そのままにしておくと、他の金融機関に預け替えられてしまうか、そのまま「預金」として預け続けられてしまう可能性があるので、すぐに連絡を入れ、現金で投資商品などを買ってくれるように誘導します。
実は、「預金」というのは、銀行にとってはリスク商品です。こう書くと、「預金は預けておけば利息が付くことはあっても目減りすることはないのだから、ノーリスクじゃないか」と思う方もいらっしゃるでしょう。
でもそれは、私たち側から見た「預金」です。
銀行側から見ると、「預金」はリスク商品。なぜなら、「預金」を預かると、銀行はそのお金を管理しなくてはならないだけでなく、微々たるものでも必ず利息を付けて預金者に返さなくてはなりません。
そのためには、運用で増やさざるを得ません。ところが、低金利なので運用先がなく、少しでも増やそうと思ったらリスクを覚悟しなくてはなりません。