日本の平均賃金は30年間ほとんど増えていない

ちょうどハロウィンの時期。タイムズスクエアでは世界中から来た観光客で大賑わいでしたが、日本人の姿はほとんど見かけませんでした。かつては世界中のどこに行っても日本人観光客を目にしましたが、日本の経済力が弱くなってしまったことをひしひしと感じました。

日本に帰国し、物価が安くて平和な日本の良さを実感しましたが、同時にこのまま地盤沈下してしまうのではないかという危うさも感じました。

日本経済が振るわない現状は数字の面でも明らかです。先進国が加盟するOECD(経済協力開発機構)のデータによると、2021年の平均賃金はOECD34カ国のうち24位(ドル換算)。1991年には23カ国中13位でしたが、2013年には韓国に抜かれてしまいました。2011年には東日本大震災に見舞われましたが、それ以前から年々順位を下げています。

日本株に関するグラフ
写真=iStock.com/atakan
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平均賃金は過去30年あまり、ほとんど増えていません。1990年に3万6879ドルでしたが、30年後の2021年になっても3000ドルほど増えただけです。

「ビッグマック指数」は韓国や中国よりも低い

これに対し、アメリカは4万6975ドルから7万4738ドルに1.6倍にも増えています。西欧諸国もイタリア以外は軒並み上昇しています。世界はリーマン・ショックやコロナ禍、ウクライナショックを同じように経験してきたはずですが、まるで日本だけが取り残されたかのようです。

国の経済力を測る基準として、英国のエコノミスト誌が1986年から発表している「ビッグマック指数」も知られています。ビッグマックは国が変わっても材料や調理法がほぼ同じなので、物価水準や購買力を比較しやすいのです。ビッグマックの価格には各国の原材料費や人件費、家賃などが反映されています。

2023年1月に発表されたランキングでは日本は54カ国中、41位(410円)。もっとも高いスイスでは944円、アメリカは697円でした。韓国(516円)、中国(460円)は日本より高く、イギリス(401円)、台湾(321円)は日本より安くなっています。