離職率が高いのに業績が上がっていった
――ビッグモーターでは社員がなかなか定着せず、離職率は非常に高いといわれています。
【磯﨑(拓)】仕事がきついというのは以前から知られていました。結果として社員の出入りが激しくなりますが、逆に残っている人たちは実績を上げつづけてきた強者揃いだと聞いています。
聞いた話によると、営業社員だけでなくフロント業務に就いている社員も実によく働くそうです。ひたちなか市にある店舗でも、全国トップクラスの営業成績を上げている社員が何人かいるようです。
――どれだけの報酬を得ていたのでしょうか。
【磯﨑(拓)】歩合給を含めると、年収1000万円、2000万円クラスもざらにいるらしいですね。ただ、彼らは企業の従業員というより、「個人事業主」に近いようです。「とにかく働いて数字を上げられればいい」という感覚で、社内のチームワークはなきに等しいと聞いています。
――数字が上がれば、あとはどうでもいい?
【磯﨑(拓)】営業社員は売った後のアフターフォローも一切、行わないそうです。そこで販売後はフロントが対応することになりますが、彼らも車検を受注できれば実績になりますから、社内の連携が取れていなくても一生懸命にやるわけです。
数字を上げれば、それが即給与に反映されるのですから、他店の社員に比べ3倍、4倍の仕事をこなし、残業もいとわない。
当社の社員の多くが定時になるとさっと退社するのとは好対照ですね。しかし、それだけに歯止めが利かなくなり、不正行為にも傾きやすくなるのだと思います。
利益至上主義に陥らないためには、やはり経営者側がきちんとした理念を掲げ、コンプライアンス上問題のある行為に走らないよう、ブレーキをかけることが必要なのではないでしょうか。