悪しきパートナーシップ

――ビッグモーターは、どんなパートナーシップを損保会社との間で築いてきたのでしょうか。

【磯﨑(拓)】報道の通り、損保会社が不正請求と知りながら保険金を支払ってきたのだとすれば、これは大変な問題です。

そもそも最近では、以前は支払われた保険金が下りなくなるなど全般に保険の査定が厳しくなっていますので、それに逆行するような査定がなされていたのなら、まさに悪しきパートナーシップだといえますね。

――損保会社からの出向社員が多くいたことも、不正を助長する要因になっていたのでしょうか。

【磯﨑(拓)】保険会社から社員が出向するのは珍しいことではなく、当社にも1名、出向社員がいます。出向は相手の会社との取引の規模や関係性の深さなどにより決まります。

販売店にとって出向社員を受け入れるメリットは、コンプライアンスが保たれるということです。保険だけでなく販売、修理、アフターフォローなど業務全般に会社として公正に取り組んでいるという証しになるのです。

こうした出向社員が逆に不正に関与している可能性があるとは思いもよりませんでしたし、あってはならないことです。

あってはならない行為

【磯﨑(拓)】ビッグモーター問題では、本来、修理などする必要のない箇所も修理をして、保険金を騙し取るという手口が報道されていますね。

メカニックガレージで車のエンジンに取り組む自動車整備士
写真=iStock.com/Kunakorn Rassadornyindee
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当社では、保険で修理を請け負う際に、保険を適用する箇所以外のキズなどを一緒に直してほしいとお客さまから依頼されることがありますが、その際に追加修理する箇所にも保険を使うといったことはもちろんしません。むしろ、保険金が満額支払われる場合なら、保険適用外のキズ修復をする際には当社の利益を削る形で対応することが多いです。

――修理では、中古の部品を新品と偽って使用していることも問題になりました。

【磯﨑(拓)】あってはならないことですね。ただ、中古の部品でも新品と変わらないものもあり、中古品を使うこと自体が問題というわけではありません。以前と違い、保険を使うことで等級が下がり、保険料が上がってしまうこともあるため、保険で修理をするお客さまは全般に減ってきており、実費で修理するなら中古品を使ってもらいたいというお客さま側のニーズもあるのです。

【磯﨑(孝)】当社でも中古部品を「リサイクル部品」と断ったうえで使用しています。保険を使いたくないお客さまから「リサイクルないの?」に聞かれることもあります。