※本稿は、内田和成『アウトプット思考』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
膨大な資料から効率的に情報を得る方法
「一次情報」を何よりも重視する私にとって、最も多くの情報を得られる場所こそが「ビジネスの現場」である。現場の社員の話、各種資料、オフィス内や工場の雰囲気など、すべてが貴重な情報源である。
とはいえ、単に現場に行き、人から話を聞いたからといって、有益な一次情報が得られるとは限らない。そのためには情報を集めるスキルや、相手の話を引き出すスキルも重要となる。
まずは、膨大な仕事上の資料から、いかに効率的に情報を得るかについて触れたい。実はこれは、コンサルタントの得意技でもある。
企業のコンサルティングを始める際、その企業の経理・財務データをはじめ、最初に膨大な資料を渡されることが多い。「まずはインプットから」とばかり、これを最初から最後まで丁寧に読もうとすると、それだけでコンサルティングの期間が終わってしまいかねない。
「ここに問題があるのではないか」と仮説を立てる
では、必要な情報をどう効率的に拾っていけばいいのか。
ここでも、大事なのはアウトプットから入るアプローチだ。大きく分ければ、二つのパターンがある。一つは、まず仮説を立てて、それを念頭に置きながら情報を読み解いていくというアプローチだ。
「ここに問題があるのではないか」という仮説を事前に立てておき、それが正しいかどうかというスタンスで、情報を読み込んでいく。例えば、「在庫管理に問題があるのではないか」という仮説を立てたら、膨大な情報の中から在庫数の推移や欠品率、出荷までのリードタイムの情報などを中心的に読み込んでいく。こうすることで、ただ漠然と資料を読むよりも情報が効率的に頭に入ってくる。
そして、もし資料の中に求めている情報がなければ、「こういった情報はありませんか?」と担当者に聞いてみる。コンサルタントにとっては王道のアプローチとも言えるだろう。