資料は「出してもらう」もの
ここでもう一つ、資料は「与えられるもの」だけではなく、「出してもらうもの」だという意識を持つことにも言及しておきたい。
これもコンサルティングの例で言えば、会社の財務諸表などは、こちらが黙っていても出てくる。
一方、例えば「社史」や「お客様センターの過去1年分のログ」などは、普通は言わないと出てこない。だが、こうした資料の中に課題解決のヒントが隠れているということは多々ある。
もちろん、たくさんの資料を請求すればするほどいい、というわけではない。その気になれば資料はいくらでも出てくるから、キリがない。
問題意識や仮説を持って資料に臨む
この状態を、医者の診察にたとえてみよう。
何はともあれ治療の正確さにこだわる、というのなら、あらゆる患者に対して人間ドック並みの検査を行ってから治療を始めればいい。だが、そんなことをやっていたら医者も患者も大変だし、時間もお金もかかってしょうがない。保険制度もきっと、破綻してしまうことだろう。
だから普通の医者は、患者に簡単に症状を聞き、「胸に問題があるのかな」などと仮説を立て、まずは肺のレントゲンを撮ってみる、という手順を取る。あるいは、「ちょっと顔色がいつもより悪いようだ」という異常値を見つけて、そこから症状を導き出していく。結果的にこのほうが、より早く、的確な治療を行うことができる。
仕事における情報収集も、これと同じことである。
問題意識や仮説を持って資料に臨み、必要な情報だけをなるべく早く手に入れる、というスタンスが重要なのだ。