仕事に必要な情報はどのように集めればいいのか。早稲田大学名誉教授の内田和成さんは「どんなアウトプットが必要なのか明確にしたうえで、情報に接したほうがいい。目的意識を持つことで情報収集のスピードと精度が高まり、差別化もしやすくなる」という――。

※本稿は、内田和成『アウトプット思考』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

スマホで検索する人
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検索して出てくる情報は差別化につながらない

私の情報術における基本スタンスをひと言で述べれば「情報は整理するな、覚えるな」ということになる。インプットにいくら時間をかけたところで、労力に見合ったアウトプットが出せない時代だ。

さらに「検索するな」もここに加えたい。検索して出てくるような情報は、誰もが手にできる情報であり、差別化にはつながらない。「情報は整理するな、覚えるな、検索するな」。これが、私の情報に対する基本スタンスだ。

理想は、インプットにはなるべく時間をかけず、成果を出すこと。いわば、インプットに10の労力をかけ、1の成果を出すのではなく、1のインプットで10の成果を出してしまおうという、虫のいい情報術こそが、私の提唱するものだ。

そして、そのために必要なのが、「アウトプットから始める」情報整理・活用術なのだが、では「アウトプットから始めるインプット」とは、どのようなものなのか。

情報収集は目的を明確にしたうえで行うべき

ここで必要となるのは、情報に接する前に、自分の「スタイル」を明確にするということだ。

つまり「何を目的として」「どんな立場(ポジション)で」「どんな役割を期待されて」情報を生かそうとしているのかを明確にしたうえで、情報に接する。それにより情報収集のスピードは速くなり、差別化もしやすくなる。

まず意識すべきは「情報活用の目的」である。情報活用、つまりどんなアウトプットが必要なのかを明確にしたうえで、情報に接するということだ。

あなたが通信社の記者でもない限り、「情報を集めることそのものが仕事だ」ということはないはずだ。なのに、「なんのために情報を求めているのか」ということは、意外と忘れられがちである。

目的意識を持つと情報収集のスピードも精度も大いに高まる。アンテナを立てることで、必要な情報が飛び込んでくるようになるからだ。