エンタメとスポーツは受信料でない課金制に

とはいえ、世の中にはエンタメやスポーツ番組を見たい人もいるだろう。私はニュースと教育以外は必要ないと考えているが、NHKはどうしてもそのニーズに応えて放送をしたいなら、ニュースと教育以外はすべて「総合チャンネル」に集めて、受信料とは別の料金体系の課金システムを導入するべきだ。

実はNHKは多数のドキュメンタリー番組をつくっている。ただ、それらは、組織が肥大化して人余りになっているNHKエンタープライズのディレクターに食わせるためのプログラムであり、公共性うんぬんはそのための口実にすぎない。これらもニュースや教育と分離して「総合チャンネル」にひとまとめにして、見たい人だけがお金を支払うようにすればいい。

分離して国民がそれぞれ見たいチャンネルを見るようになれば、これまでのようにひとまとめで受信料を設定する必要はなくなる。大河ドラマや紅白歌合戦の豪華なセットに受信料を使われたくないと思う人は、ニュースや教育の専門チャンネルだけ契約すればいい。

価格設定については、動画サービスは月額500~1500円くらいが相場だが、ニュースや教育は公共性が高いので、1チャンネル年間1000円(月額100円)くらいが適正価格だろう。

一方、エンターテインメントのチャンネルは、ABEMAやネットフリックスのようなインターネット放送に移行して、番組単位の投げ銭制にしてはどうだろうか。民放同様、人気のあるコンテンツならそれで採算が取れるし、採算が取れなければその番組が消えていくだけである。相撲や高校野球の専門チャンネルなら、従来のテレビでは放送できないようなアーカイブ映像を流したらファンは喜ぶのではないか。

稲葉次期会長は日銀からリコーに行って、「デジタル化の大きなうねりに多くの企業が翻弄ほんろうされている」と痛感したという。NHKも例外ではない。本当に危機感があるなら、既存の枠組みを根本的に見直して、デジタルの時代に合ったチャンネルや受信料の仕組みに変えていくべきだろう。

(構成=村上 敬 写真=時事通信フォト)
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