次は食材の買い出しであるが、あらかじめ買い物リストを作っておくのは常識。しかし、ある節約長者の主婦はリストを紙に書き出さない。余白があれば、つい余計なものまでリストアップしてしまう恐れがあるからだ。ではどうするかというと、手の甲、それも親指と人差し指の間のわずかなスペースに書いていく。他人に気づかれて恥ずかしい思いをしたくないという気持ちも働いて「3、4品、書くのがやっと」であるそうだ。

そうしたストイックな姿勢は買い物の現場にも顕著に表れる。子供はなるべく一緒に連れていかない。「このお菓子がほしい」となるのが目に見えているからである。また、スーパーにあるカートは利用しない。手にカゴを持って買い物をしていると次第に重くなり、「決めたものだけ買って、早くレジを済まそう」と自制心が働くようになるのだ、というから頭が下がる。

もし、あなたが「牛乳はスーパーの安売りで買うのが1番お得」と信じていたら、それはもはや時代遅れの節約術だ。いまや意外なところで意外なものが安売りされている時代。その最たる例がドラッグストアでの牛乳の安売りである。ドラッグストアからすれば、大幅赤字を覚悟でスーパーより安い値段で牛乳を売っても、主力商品である化粧品や薬をついで買いしてくれれば、十分に元が取れる。もちろん賢い主婦は牛乳の“1点買い”で店を後にする。

そうした超安売り商品の情報に敏感になるために「底値帳」なるデータ集を手作りしている節約長者もいる。「何月何日の何時に、どのお店で、どの商品がいくらで売っていたか」を一覧表にしていく。そうしていると次第に「どの店で、いつ底値で売り出すか予想できるようになる」という。投資家が為替や株価のチャートを自分でつけて相場観を養うのと同じように、買い物の“底値感”を体に覚えこませるトレーニングにつながっているのかもしれない。

一方、衣料品の購入はどうかというと、「いまやユニクロは贅沢。しまむらで買え」というのが節約上手のロウアー・ミドルの合言葉。さすがに体面を考えて主人の普段着はユニクロにすることもあるが、妻や子供の分はしまむらで済ませる。何せ婦人ワンピースが1470円、シャツやスカートなど子供用の服の8点セットが2000円という破格の値段で売られているのだから。なお、主人のスーツは5000円で買える西友のセットアップスーツなどが常識化しつつある。(※雑誌掲載当時)