貧乏でも幸福。英労働者階級の生活の中身

こう話していくと何だか爪に火を灯すような、ちまちました息苦しい生活を送っているかのように思ってしまう人もいるだろう。しかし、節約上手なロウアー・ミドルであればあるほど、「お金が大切」なことは当たり前であって、口に出すことはほとんどない。むしろ家のなかには潤いが感じられ、家族仲良く楽しそうに生活をしているものなのだ。

たとえば、いまや1部屋に1台がほぼ当たり前のテレビであるが、彼らの家にはリビングに1台あるだけのことが多い。週末の夜は家族全員が集まって、同じ番組やDVDなどを見て楽しむ。そうすれば、リビング以外の部屋の光熱費はかからない。それに番組の感想などをきっかけにして、子供が何を考え、どのようなことに興味を持っているのかがわかり、親子間のコミュニケーションをスムーズに保つことだってできる。

休日の過ごし方だが、大混雑のレジャーランドへ行き、親子4人で2万円ほどのチケットを買ったものの、アトラクションに乗るのに2、3時間待ちはザラで、結局乗れたのは3つ、4つだけというような愚策は、彼らの選択肢のなかには初めから存在しない。ではどうするかというと、近くの公園に手作りのお弁当を持ってピクニックがてら出かけるのだ。

もちろん公園だから入場料など一切かからない。豪快なアトラクションはない代わりに、サッカーボールを思いっ切り蹴ることのできる広場がある。ちょっとした遊び道具を用意しておくだけで、体をフルに動かしながら親子で楽しい時間を過ごせる。

ことほどさように、彼らはものやお金に頼らなくても、楽しい時間を過ごせる術を熟知している。もちろん、同じことが個人的な趣味にも活かされている。