ユーザー同士の「ヨコの交流」、プロ歌手との「タテの交流」ができる
特徴③ コミュニティを活性化し、縦横無尽のつながりを生む
このケースでは、コミュニティを通じてひとりのユーザーから別のユーザーにつながるといった「多角形」の交流が数多く生まれています。この多角形の交流を私は「パーソナルトラフィック」と呼びます。
チャンバではカラオケを通じたユーザー同士の「ヨコの交流」やプロ歌手との「タテの交流」が無数に生じています。
このパーソナルトラフィックは、自然に発生しているようで、じつは「管理人」である企業側が「こうしたらもっとフォロワーが増えますよ」「こうするとランキングが上がりますよ」などと「制約」をかけながらユーザーを誘導しています。
制約、というと自由度がないように思われますが、要はユーザーがより自己実現できるよう、適切に条件づけをしてあげるということです。最終的にはユーザー自身が選択するのですが、この条件づけを企業側が設けることで、結果としてフォロワーが増え、ユーザーの自己実現につながるのです。
チャンバのような企業は、もはや自社のオフィスで経営企画やマーケティングは行いません。会議室でしかめ面をして考えたお客さま像、いわゆるペルソナ通り、そんな人間は存在しないことを経験則から知っているのです。ただひたすら、ユーザーを楽しませながらユーザーデータの獲得に徹しています。データほど、ユーザーの行動特性を雄弁に物語るものはないからです。
「お客さまの声」を重視する日本企業に欠けていること
データは、予測と現実のギャップを埋めてくれます。たとえば、ある企業に販売戦略を練る優秀な人材がいるとしましょう。平均的なユーザーはこう感じて、購買するだろうと彼は予測し、戦略を練ります。
しかしこの人材はかなり優秀なため、現実には平均的なユーザーではないのです。そのため、予測と現実はしばしば乖離します。したがって、予測をもとにした戦略が、現実に対応しているかどうか判断するため、データが重要になるのです。
生のデータをよく観察することは、特に変化の速い時代において、自身の予測とのギャップを埋めていくために必要なことといえます。
多くの日本企業が「お客さまの声」を聞くためにアンケートやヒアリングにいそしんでいる一方で、海の向こうの新興テック企業はユーザーデータとAIで日々サービスをアジャイルで進化させているのです。