リーダーこそ、先頭に立って戦う姿を示すべき

「若手選手を育てる」「次のリーダーを育てる」「自分の経験を伝える」なんていかにも聞こえはいいけれど、自分で先頭に立ってチームを引っ張り続けることよりも、本当は、この立ち位置にいるほうがずっと楽だと感じていたんじゃないか。

矢面に立って、練習でも常にベストなプレーヤーでいることが、キツくなっただけなんじゃないか。

「人を育てる」のを体のいい言い訳にして、無意識のうちに楽な道を選んでいただけなんじゃないか。

それはリーダーの仕事を果たした気になっているだけで、結果的にチームのためにはなっていない。

キャプテンとして、リーダーとして、自分が全力で前に出て、わがままを押し通しながら道を切り拓いていくことがチームにとって最善なのであれば、何を差し置いてもそれを実行すべきなのだ。リーダーこそ、先頭に立って汗みどろになって、戦う姿を示すべきだ。

聞き分けのいいことを言っていないで、わがままに思いを貫くべきだ。

少なくとも僕は、それがリーダーの仕事だと思う。

その姿が、必ず次の世代を育てているはずだから。

人的資源の管理
写真=iStock.com/Dilok Klaisataporn
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喜怒哀楽を隠せないので、そのまま伝えてきた

「喜怒哀楽を隠さずに伝える」のは子どもの頃からだ。

そもそも隠さないというよりも、感情が隠せないが正しい。感情のコントロールが苦手で、ラグビー部の顧問の先生に食ってかかって言い争いをしてしまうくらいには、感情がそのまま表情や態度、言葉になって出てしまうタイプだった。

大人になった今でも、ムカつけば「何言ってんだ、コイツ」と顔に出てしまうし、悔しい時、悲しい時にはみんなの前でも本気で泣く。試合の応援に来てくれていた子どもにまで、「姫野選手、もう泣かないで」なんて慰められてしまうこともあった。

「それは違う」ということがあれば、たとえチームメイトでもストレートにぶつかっていくこともある。

だいぶ前のことだが、岩村昂太(現・三菱重工相模原ダイナボアーズ)ともリーダーシップを巡って大喧嘩をしたことがある。当時、岩村はチーム内に数人いるユニットリーダーの1人として、僕と一緒にチームをまとめていく立場だった。

だが、その時のユニットリーダーたちの姿勢を、僕はずっと物足りなく感じていた。