すると当然、ヒューマンエラーが起きやすくなります。この複雑怪奇な分散管理システムをやめ、情報を一元管理し、情報のマッチングは自動で行うような設計・思想に変えないと、根本的な解決にはならないでしょう。

マイナンバー制度の本来の目的

これは社会全体の制度設計の話です。テレビなどで「俺はマイナンバーカードを返納する」と息巻いている人もいますし、実際にマイナンバーカードを返納した人もかなりの数に上るといわれています。もし彼らの言い分を飲んでマイナンバーカード以外の運用を認めるとしたら、システムは二重、三重のものとなり、人為的ミスの可能性も高まります。何のためのデジタル化かわからなくなってしまいます。

国民所得を把握し、きちんと納税してもらう代わりに、事故や失職、病気などの際は、素早く社会保障を提供できる、国民が不安なく生きやすい社会にするのがマイナンバー制度の本来の目的です。

福祉社会として有名な北欧各国も、マイナンバー制度が土台です。国民一人ひとりの情報を、誕生、教育、就職、結婚、離婚、離職、失職……と国が追跡把握できるからこそ、国民の誰かが困難のときは、いち早く察知し、きめ細かな行政サービスを一人ひとりに提供できるのです。この情報集約をするためにマイナンバーカードをフル活用する必要があるのです。我々日本人にとって、「なぜマイナンバーカードが必要なのか」、そもそもの「核心的問題点」を、僕ならば言葉を尽くして国民に説明していきますね。

(構成=三浦愛美 撮影=的野弘路)
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