マイナンバーカードで支持率を落とした岸田内閣
岸田内閣の支持率が、各種世論調査で軒並み急落した。6月23~25日に新聞各社の調査が行われたが、日本経済新聞の調査では39%で、前回調査比8ポイントの下落。読売新聞の調査では41%と、実に前回比で15ポイントもの急落だった。5月に岸田文雄首相の選挙区・広島で開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)で上昇した分を、完全に食い潰している。
最大の原因として指摘されているのが、マイナンバーカードをめぐる問題だ。コンビニエンスストアでマイナンバーカードを使って住民票などを発行する際に、誤って別人のものが交付されたり、国の給付金などを受け取る口座を関連づける際に本人以外の口座を登録していたりと、連日のようにトラブルが報じられている。日経新聞の調査によれば、こうしたトラブルへの政府の対応は「不十分だ」との回答が76%。読売新聞の調査でも、政府が適切に対応していると「思わない」と答えた人が67%にのぼった。
7月5日には衆院の地域活性化・こども政策・デジタル社会形成特別委員会で、この問題に関する閉会中審査が行われたが、野党から「マイナンバー制度を進める一番の障害は河野太郎デジタル相」と言われるありさま。国民の不安は軽減するどころか、むしろ募る一方だ。
トラブルがあまりにも頻発しているので「トラブル対応に右往左往して、ごく普通の行政能力さえ持てない岸田政権」という点に大きく焦点が当たっている。だが、それだけではない。「行政能力の欠如」もさることながら、「アメとムチ」を駆使して国民を追い詰めるような形でしか自らの施策を進められない岸田政権の「国民との対話能力の欠如」も、支持率急落に大きく影響していると考える。
「行政能力の欠如」が露呈した
最初に「行政能力の欠如」について、少し述べておきたい。
政治が何らかの新しい施策を手がける時には、国民の不安を最小化するため、十分な周知期間を設
しかし、今回のマイナンバーカード問題では、岸田政権が無理な要求によって自治体に多くの負担をかけ、結果としてミスを多発させている。