上司からは教えてもらえず、褒めや労いの言葉もない

次に上司や同僚たちとの関係性について聞いてみると、上司はあまりAさんに時間を割いてくれず、1 on 1 ミーティングでも基本的にAさんが報告をするのみで、それに対しても「はい、わかりました」の一言で終わってしまうようでした。部署の方針や本部の方針などを聞いても、毎回質問をはぐらかされてしまっているとも教えてくれました。

オフィスでミーティング
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転職してまだ日の浅いAさんは、今の会社でのさまざまな手順や慣習、業務上必要な情報などは仲良くなった同僚や後輩から教えてもらっているようでした。同僚や後輩たちは、それらの情報は上司から教えてもらっているようで、なんとも言えない気持ちだと打ち明けてくれました。このことをネガティブに考えてはいけないと認識しているものの、Aさんの業務活動に対して、褒めたり労ったり感謝したりなどの言葉もないことがわかり、私はそこに原因があると感じました。

違和感の正体は「承認されている感じがしない」こと

また、上司に怒られたりするのかを聞いてみたところ、怒りもしないが、何か重箱の隅をつつく感じに不十分なところを粗探しされ、改善方法ではなく、ナメているとか、真剣さが足りないなど、直接仕事とは関係ないことを言われるようでした。決して怒鳴られたり叩かれたりするわけではないので、ハラスメントとは思わないが、こういった指導の後は当然、仕事を前向きに考えにくくなってしまうようでした。

Aさんには、彼の頑張りを同僚や後輩は認めてくれているからこそ、仲良くなれたし情報を共有してくれていることを伝えた上で、おそらく上司から承認されている感じがないことが違和感の正体ではないかと伝えました。腑に落ちるところがあったらしく、それがわかれば上司が文句を言えないような圧倒的な成績を出すのみだと、気持ちを新たに働きたいとAさんは言い、産業医面談は終わりました。