保険の節税機能を活用して年利10%

ほかにも減税効果で利益が得られるものがあります。

生命保険・個人年金・介護医療保険に加入することで、所得控除が受けられ、その分だけ税金が安くなるという制度があるのはご存知の人も多いと思います。

節税の仕組みはDCと同様ですが、DCと異なる点もいくつかあります。

たとえば、掛け金全額の控除は認められず、上限が決まっています。また、運用は保険会社任せで、自分で運用方法を選ぶことはできません。しかしDCを利用したのち、まだ余裕がある人は、ぜひ保険料控除も活用したいものです。これも国が制度として用意した、合法的かつ有利な方法だからです。

保険料控除は、次の3種類があります。

・一般生命保険料控除……死亡保険、養老保険、収入保障保険、学資保険など
・介護医療保険料控除……医療保険、がん保険、介護保険など
・個人年金保険料控除……個人年金保険など

「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」のそれぞれについて所得税・住民税ごとに、次のとおり所得控除額を計算します(平成24年1月1日以後に締結した保険契約について適用され、平成23年12月以前の契約は旧制度の申告となり、計算が異なります)。

新制度で説明すると、一般生命保険料控除(所得税4万円・住民税2万8000円)+介護医療保険料控除(所得税4万・住民税2万8000円)+個人年金保険料控除(所得税4万・住民税2万8000円)で、所得税で最大12万円、住民税で最大7万円(住民税は3種類合わせても上限7万円)の所得控除が受けられます。

年収500万円~600万円で、家庭がある一般的な会社員の場合、所得税率はおおよそ10%、住民税は一律10%なので、節税できる(サラリーマンの場合は還付される)金額は、

所得税:12万円×10%=1万2000円
住民税:7万円×10%=7000円
所得税1万2000円+住民税7000円=1万9000円

となり、最大で1万9000円の節約を受けられる計算になります(税率は他の収入や家族構成によっても変わりますので、あくまで例)。

赤ちゃんを連れたアジアの若いカップルは、自宅で一緒にファイナンシャルプランニングについて話し合っています。
写真=iStock.com/kokouu
※写真はイメージです

掛け捨てではなく貯蓄型がおすすめ

これらを掛け捨てではなく、満期返戻金がある貯蓄型のタイプで、返戻率(払い込んだ保険料に対し、満期で戻ってくる金額)が高い保険に加入します。

たとえば私が加入している生命保険は、60歳まで払い込み65歳で受給すれば、返戻率が105%を超えます。個人年金は60歳以降の受給で110%を超えます。

年間8万円以上保険に入っても税制上はメリットがありませんので、年間の保険料支払額が各々8万円を超えるギリギリの金額で加入すれば(月々7000円弱)、少ない出費で最大の控除を受けることができます。