朝の光でメラトニンサイクルを回す

メラトニンの原料は、トリプトファンという必須アミノ酸です。

トリプトファンを摂取するためにバナナを食べましょう、と言われることがよくありますが、バナナは嫌いとか、体質に合わないという人でも大丈夫です。トリプトファンは、肉や魚、豆類、豆乳や乳製品などにも多く含まれています。

朝食に、納豆や魚などを食べると、その中のトリプトファンは、セロトニンに変換されます。

セロトニンは、脳の興奮を緩やかに抑えて、突発的な出来事にびっくりせず、落ち着いて行動できるようにする役割を持っていると考えられています。

菅原洋平『あなたの人生を変える睡眠の法則2.0』(自由国民社)
菅原洋平『あなたの人生を変える睡眠の法則2.0』(自由国民社)

昼間に安定した気分で充分に能力を発揮したら、セロトニンは、N-アセチルセロトニンになった後、メラトニンになります。

セロトニンとメラトニンの分泌量は、正反対のリズムを持っています。つまり、セロトニンが多くなるとメラトニンは減り、メラトニンが多くなるとセロトニンは減ります。

こうして私たちは、昼間元気で夜ぐっすりの生活をおくることができるわけです。

ここで、メラトニンを増やすのが良い睡眠につながるならば、窓際に行くとか面倒なことをしなくてもサプリメントを飲めばいいんじゃない? と思われた人もいるかもしれません。ただ、残念ながら、1つの物質を摂取すればよいというほど単純ではありません。

実は、トリプトファンは、摂取してもそのままでは脳に取り込まれない物質です。体の血液が脳に入るときに、有害な物質が脳に入らないようにしている血液脳関門を通過することができないからです。

ただ生活しているだけで、やる気が湧き起こるサイクルへ

トリプトファンは、アルブミンと結合しているのですが、この結合を切ることができてはじめて、血液脳関門を通過することができます。この結合を切る役割をしているのが、インスリンです。

睡眠が不足すると、インスリンが減ってしまいます。つまり、手っ取り早く睡眠を改善しようとトリプトファンを摂っても、夜更かしをしてインスリンを減らしてしまえば、メラトニンを増やすことができなくなってしまうのです。

朝の光でメラトニンを減らす、原料を摂取する、昼間の行動でセロトニンを増やす、夜の暗さでメラトニンを増やす、睡眠量をかせいでインスリンを増やす、という一連のサイクルをかみ合わせることができれば、ただ生活しているだけで、やる気が湧き起こってきます。

このサイクルの中でどれかを実行できればいいのですが、朝窓際に行くことが、一番簡単で継続しやすいです。

【関連記事】
「秒で眠れる」寝つきが良すぎる人はかえって危険…どんどん健康になる「ベストな入眠時間」の最終結論
食べてすぐ寝たら疲労はとれない…それでもお腹が空いて眠れない夜に口にするといい"身近な食材"
ウジウジと悩むのは最悪…自律神経の名医が「人間関係に疲れたら、とにかく早寝早起き」と諭すワケ
どんな兵士でも120秒以内に96%が寝落ちする…あまりの効果に米軍も採用したコストゼロのリラックス法
「脳トレはほぼ無意味だった」認知症になっても進行がゆっくりな人が毎日していたこと