樹木葬の平均購入金額は約67万円、一般墓は約152万円
樹木葬が、墓の主流になりつつある。日本最大級のお墓探しサイト「いいお墓」によれば、2023年7月17日現在の掲載霊園数は全国で1万199カ所。検索キーワードを「樹木葬」と入れて絞り込むと、うち1275カ所がヒットした。
先述の伊藤氏によれば、同サイトにおける2013(平成25)年時点の樹木葬登録数は、全国でも数カ所程度で、東京23区内では2カ所のみの運営だったという。だが、この10年ほどで新規設置が急増。現在では全霊園の1割強が、樹木葬に置き換わっており、その人気はますます拡大していきそうだ。
データも裏付ける。供養・終活に関する情報を提供する鎌倉新書の調査(2023年、「いいお墓」経由での墓購入者を対象、有効回答数660)によれば、「購入したお墓の種類」では「樹木葬」が51.8%、「納骨堂」が20.2%、「一般墓」が19.1%、「その他(手元供養など)」が8.9%という結果となった。今年、調査以来、初めて樹木葬が過半数を超えた。
なお、本調査では樹木葬の平均購入金額を出しており、66万9000円となっている。なお、納骨堂は77万6000円、一般墓は152万4000円である。葬送にかけるコストを抑える傾向にある昨今、樹木葬価格の手ごろ感も、需要を支える大きな要素といえる。
横浜市健康福祉局が2022(令和4)年に実施したアンケート(20歳以上の横浜市内在住者、有効回答数1822)でも、「樹木葬」へのニーズの高まりを知ることができる。
「取得するのに望ましいタイプの墓」として、「芝生にプレートを設置した、個々に区画されたお墓」(25.7%)が最も多い。次いで「墓石を使った、個々に区画されたお墓(一般墓)」と「樹木を墓標に見立て、遺骨は骨壷ごと土に埋める共同墓」が同率の18.8%となった。
欧米の墓地で主流の、「芝生型(樹木葬)」が日本でも支持を集めつつあるようだ。いずれにしても、植物に包まれる「有機的な墓」が、近年、好まれていることがわかる。