こうすれば行動力を得られる

では、いったいどうすれば、大胆かつスピーディーな行動力を手に入れることができるのでしょうか。そのための手掛かりとして、脳の抑制に着目してみましょう。

人間の脳には、すぐに行動できる脳とできない脳が共存していて、すぐに行動できるようになるには脳の抑制を外せるかどうかにかかっています。これを脳科学的には「脳の脱抑制」といいます。

「なかなか行動に移せない……」と悩んでいる人は、決して行動力がないわけではなく、脳の抑制の外し方が苦手なだけです。でも、それはある意味では仕方がないこと。なぜなら、脳の抑制の外し方というのは、誰かが教えてくれるわけではないからです。それどころか、先に述べたように一歩社会に出れば「こうしなければいけない」「こんなことをしてはいけない」といったルールや決まり事だらけで、多くの行動が制限されてしまっているのが実情でしょう。

もちろん、それはそれで悪いことばかりではないのですが、結果として自分の行動にストップをかける癖がついてしまっているのです。

けれどもその一方で、持ち前の行動力を発揮して成功しているトップランナーたちがいます。プレッシャーをものともせずに素早く行動し、誰も成し遂げられなかったイノベーションを実現している人たちです。

私は、彼らの成功は脳の抑制を外すことができた成果だと考えています。つまり、ちょっとした工夫次第で誰にでも脳の抑制は外すことができるということ。そこで大事なのが、あまり慎重に考えずに瞬間的にトップスピードで行動する習慣を身につけるということです。

私はこれを「瞬間トップスピード法」と呼んでいます。

運は待つのではなくつかみに行くもの

たとえば私の場合、この本のように原稿を執筆しようと決めたときは、とにかくパソコンをパッと立ち上げて、準備もしないですぐにトップスピードで書き始めます。

茂木健一郎『強運脳』(かんき出版)
茂木健一郎『強運脳』(かんき出版)

そこには、「さぁ、原稿を書くぞ!」といったやる気や、「あれをやって、これをして」といった心の準備をするという意識はまったくありません。

どんな行動もまるで歯磨きでもするように、あれこれ考える前にパッとやってみる。完璧など求めずに、やり散らかしたっていいということです。

大事なのは、自分が何か特別なことをやっていると思わないこと。特別なことをやっていると意識することで、脳が身構えてしまうからです。運気アップまずは今すぐ、何かをやってみる。

【関連記事】
これだけは絶対にやってはいけない…稲盛和夫氏が断言した「成功しない人」に共通するたった1つのこと
「酒を飲んでいるときだけは楽しい」のは危険信号…アルコール依存の人の脳内で起きている危険な反応とは
なぜ「神様はいる」と信じられるのか…無宗教のライターが135人のキリスト教信者を取材した結果
頭が疲れた時に甘い物を食べると老化を早めてしまう…ブドウ糖より健康的な「脳のエネルギー源」がある
これほど脳が活性化する方法を見たことがない…脳研究者が驚いた「勝手に勉強する子」ができ上がるプロセス