年齢が上がれば上がるほど、栄養は不足しがち
低栄養とは、タンパク質などの栄養や、体を動かすために必要なエネルギーが不足している状態のことです。厚生労働省の「令和元年国民健康・栄養調査」によると、「性別・年齢階級別の低栄養傾向の者(BMI≦20kg/m2)の割合」は図表1の通りです。
ちなみに、BMIは「体重(kg)÷[身長(m)×身長(m)]」で算出されるもので、「体格指数」と呼ばれており、BMIが20以下の場合、低栄養の危険性が高まるといわれています。
図表1を見ると、基本的には年齢が上がれば上がるほど、低栄養傾向の人の割合が高くなっていることがわかります。
その原因としては、先ほどお伝えしたように、活動量の低下や咀嚼機能・消化機能の低下などにより、食事の絶対量が少なくなったり、栄養素を効率よく吸収できなくなったりすることが挙げられます。
なお、女性のほうが低栄養傾向の人が多い原因としては、そもそも男性に比べて食事量が少ないことに加え、肥満を気にして、必要以上に食事制限をしてしまう人が少なくないことが挙げられるでしょう。
食事だけで、必要な栄養量をすべて摂るのは難しい
低栄養に関して、特に気をつけなければならないのが、自分では「バランスのとれた食事をとっている」と思っている人が、低栄養に陥っているケースが非常に多いということです。
そもそも、食事だけで必要な栄養をすべて摂るのは困難です。高齢者に不足しがちな栄養素として、よく挙げられるのは、
・タンパク質
・食物繊維
・各種ミネラル
・各種ビタミン
などですが、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、このうち、たとえばタンパク質は、65歳以上では1.0g/体重(kg)/日以上摂取することが望ましいとされています。
つまり、体重が60kgの人であれば、一日に60g以上。100g当たりのタンパク質含有量は、牛肉、豚肉、鶏肉が20g程度、豆腐が5g程度ですから、60gのタンパク質を摂ろうと思うと、肉類であれば毎日300g、豆腐であれば1200g食べなければなりません。