健康な体を維持するにはどうしたらいいのか。医師の平澤精一さんは「バランスのとれた食事をとっていると思っている人が、低栄養に陥っているケースが非常に多い。長生きするためには不足しがちな3つの栄養素を摂ることが大切だ」という――。

※本稿は、平澤精一『老化を「栄養」で食い止める 70歳からの栄養学』(アスコム)の一部を再編集したものです。

家族との食事
写真=iStock.com/Rawpixel
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70歳を過ぎると、食はどうしても細くなる

みなさんの中に、次のような思いを抱えている方はいらっしゃいませんか?

「年齢を重ねて、最近、あまり食欲がわかなくなった」
「食べてもすぐにお腹がいっぱいになってしまう」
「入れ歯になってから、硬いものが食べられなくなった」
「食事の用意をするのが面倒くさい」

年齢を重ねると、どうしても消化器官、特に胃腸の働きが悪くなり、食が細くなりがちです。胃腸の筋力や消化酵素の分泌量などが衰え、食べものが入ってきても胃がうまく広がらなくなったり、食べものを運搬する力や消化する力が弱くなったりするからです。

そのため、常に満腹感がある、食べてもすぐお腹がいっぱいになる、といった状態になりやすく、食欲が低下してしまうのです。

また、筋力が衰えて外出したり体を動かしたりすることがおっくうになると、運動量が減って空腹を感じにくくなり、やはり食が細くなります。

歯が弱っている、入れ歯が合わないといった理由で、あまり噛まずにするすると飲み込める軟らかいものしか食べられない人、食事の用意が面倒で、そばやうどん、丼ものだけで済ませてしまう人も少なくないでしょう。

しかし、「歳だから仕方がない」とあきらめないでください。

食事量が減ったり、軟らかいもの、そばやうどん、丼ものなどの単品もので済ませたりすると、どうしても低栄養に陥ってしまいがちです。

そして、その状態が続くと、健康を著しく損ねてしまうのです。