ギャンブル依存のはじまり

やがて桜木さんは、20歳の誕生日を迎えると、19歳の時に買った車にカーナビをつけようと思い、カー用品店に行った。すると店員に、クレジットカードを作ることを勧められる。

「クレジットカードを作るなら、25万円のカーナビを20万円にします」と言われ、そのカーナビが欲しかった桜木さんは、よくわからないままクレジットカードを作り、カーナビを購入した。

駐車アシスタントを映すカーナビ
写真=iStock.com/RYosha
※写真はイメージです

新しいカーナビを手に入れ、スロット仲間と楽しい毎日を送っていた桜木さん。ある日、その月の給料を使い果たした桜木さんの頭に、ふとクレジットカードのキャッシングのことがよぎった。

近くのコンビニに入ると、恐る恐るATMにクレジットカードを入れた。すると、「キャッシング枠20万円」と表示される。桜木さんは、「1万円だけやってみよう」と思ってボタンを押すと、すぐに1万円が出てきた。

「自分の口座から引き出したかのような感覚に陥り、あと19万円分も使えるのかと思うと、急に楽しくなったのを覚えています」

桜木さんはそのまま、パチンコ屋に直行した。その頃、寮の後輩も仲間に入り、5人でつるむようになっていた桜木さんがキャッシングのことを仲間に話すと、5人全員がキャッシングを使い、仲間内でお金を回すようになった。パチスロを打つ時も、返済するときも、仲間の誰かがキャッシングしてお金を回した。

しかしある時、仲間の1人が「自分は抜ける」と言い出した。すると他の仲間もさすがにヤバいと思ったのか、つるむのをやめていく。

桜木さんは、すでに限度額の20万円まで使っていた。カーナビ代の20万円の引き落としもまだだったため、この時借金は総額40万円。その後桜木さんは、一人で行動することが増えていった。

スロットへの依存度が日に日に増していく桜木さんは、スロットを打ちに行くための資金作りを考え、新しくクレジットカードを3枚作り、全てキャッシング枠を使い果たした。

さらに、ショッピング枠は残っていたので、ゲーム機をショッピング枠で買い、それをすぐ売りに行き、現金化することを思いつく。

そんなことをしばらく続けていると、ついに利用制限がかかり、カードが使えなくなった。

そのうえ、月々の返済も滞り、焦り始めていた。

「この頃の借金総額は120万円。生活費については寮費4000円と電気代5000円、携帯代1万円と食費だけだったので、何とか返済し、ギリギリの生活をしていました」

食事は毎日カップラーメンか、“サトウのごはんとツナ缶”ばかりだった。

しばらくして、CMで『おまとめローン』というものを知り、多重債務を一つにまとめ、返済を楽にしようと思ったが、このことがさらに桜木さんをどん底へと突き落とす。

「おまとめローンで使えるのは、キャッシング枠のみという条件だったので、4枚のクレジットカードのキャッシング枠合計60万分だけ借りて支払いを済ませました。しかし、そこでヤバいことを思いついてしまったのです。支払いを済ませたということは……キャッシング復活⁉ ということ。僕は、返済してすっきりした勢いも借りて、すぐに復活したキャッシング枠に手を付け、パチンコ屋へ直行しました」

これで借金総額は、120万円+60万円=180万円となった。

桜木さんはこの頃、生活のすべてがパチスロ中心に回っていたため、仕事も人間関係もおろそかになっていた。スロットをするために頻繁に有休を使い、無断欠勤も増えていた。そしてついに自主退社に追い込まれる。

桜木さんは、借金180万円を抱え、会社からも寮からも追い出された。