応用行動分析学で「すぐやる方法」を考える

そんな、思い通りにならない自分を、「心理学」の力、具体的には「行動科学」の力、もっと具体的には「応用行動分析学」の力を使って変えるのが、本書の目的です。

応用行動分析学に基づいて、「行動を起こすため、または、行動をやめるための対策を考える」ということです。

私たちは、社会生活で様々な問題に苦悩し、対処しています。問題の多くは「自分の行動が、思い通りにならない」ことに起因しているのではないでしょうか。

多くの人が「すぐに取り掛かれない」「先延ばししてしまう」ことで、多くの問題を抱えてしまっています。

私たちは、「行動についての科学的な知識を深め、思い通りに動けない自分に対処する技術」を身につける必要があります。

行動分析学に基づいたスキルがあれば、ずいぶん生きやすくなります。

スタートライン
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「行動の始発」に悩んでいる人が圧倒的に多い

作業を始めることができればそれなりに行動できるけど、始めることが難しいという人はきっとたくさんいるでしょう。

これは、行動の始発に関する問題です。

「作業を始めることはできるけど、集中が続かずにすぐにやめてしまう」という問題を持つ人もいますが、行動の始発で悩んでいる人のほうが圧倒的に多いのです。

作業が始発できなければ、何も進捗しんちょくしないわけです。

・重要な仕事があるのに始められない
・期限が迫っている試験があるのに勉強に取りかかれない
・ジョギングをすると決めたのに、いざやろうとするとできない
・美しい体をつくりたいのに、筋トレが習慣化しない

始発できるけど途中でやめてしまうことよりも、始発できない問題のほうが悩みが深いのは明らかです。

集中時間が短いとしても、何度も繰り返し始発できれば作業は進みます。「集中できない問題」の解決も、始発の頻度を増やすことで解決が可能です。