女性・地方の医学部熱は衰えを知らない
一方、医学部熱が衰えないのは、女性や地方である。理III合格者数では、東京の女子校である桜蔭高校が躍進しているし、大阪の名門女子校四天王寺高校はスポーツでも有名だが、医学部進学数全国トップクラスも自慢だ。ほかにも、各地のお嬢様学校と知られるような女子校はどこでも医学部進学熱が高い。
医局制度が解体されて、医療界はこれまで以上に、地元に留まりたいという希望が叶えられやすくなっているし、出産・育児などでキャリアに中断があっても、医師免許制度のおかげで仕事が見つかりやすい。地元志向の女性にとっては、医者は突出した有利な職業だからだろう。
男性にとっても、弁護士が増員でうまみが減り、地方で、高収入かつ社会的地位が高い職業がほかになかなかないのだから、地方都市における医学部人気はまだまだ続きそうだ。
灘や開成で見られるような新しい流れは、いずれほかの高校にも広がっていくだろうが、それが早ければ早いほど日本は救われるだろう。手厚い医療の財源をつくるのは、医療自身でなくITに代表される先端産業であり、医療だけの充実と平均寿命の伸びは医療体制そのものの首を絞めるのだ。