「内務省」を脱しない限り医療の進歩はない
もちろん、厚労省や周囲の専門家にも、このような状況に疑問を抱く人は多いだろう。ただ、個人的な良心から、「正論」を主張すれば、出世できない。厚労省に残りたければ、「内在的価値観」を受け入れるしかなく、嫌なら辞めるまでだ。
近年、厚労省の若手官僚が辞めるのは、「自分の仕事が嫌になるから(元厚労官僚)」という。
メディアは官僚の早期退職を激務のせいばかりにするが、問題の本質は、そこにはない。
わが国の厚労行政の問題は根が深い。志ある政治家や官僚に大改革を期待しても無駄だ。かの安倍政権、菅政権でもコントロールできなかったことは示唆にとむ。
政府は、その国の国民のレベルを反映する。厚労行政に問題があるのは、わが国の国民に問題があるからだ。「日本人は12歳」のままといっていい。
では、どうすればいいのか。まずやるべきは、問題の本質を歴史に遡って考え、社会で議論すること、そして、身の丈にあった医療を、自分たちで作り上げることだ。国民の統制を最優先する「内務省」にお任せしている限り、日本の医療は進歩しない。