※本稿は、榎木英介『フリーランス病理医はつらいよ』(ワニブックスPLUS新書)の一部を再編集したものです。
医師は出身大学の医局に忠誠心を誓う
ツイッターを見ていると、日夜「学歴マウント」合戦が繰り広げられています。
特に医学部の「序列」話は盛り上がります。マウント合戦はいわゆる偏差値の序列で行われていることであり、いわゆる「シグナル」(自分が優れているかを示す)に過ぎません。
その辺りは劣等感やプライドの話で、それが重要ではないとまではいわないものの、単なる気分の問題であり、気にしなければどうにでもなります。実際に医学部の「序列」が医師としての人生にどう影響を与えるかということのほうが重要です。
果たして医学部の序列や学閥は存在するのでしょうか。
「医師はインテリヤクザ」と揶揄されるほど仲間意識が強いです。何に仲間意識を持つかといえば、それは出身大学に対してです。実は若干違っていて、忠誠心を誓うのは、大学の医局に対してです。
他の大学出身者が「入局」するケースも
内科や外科という大雑把な括りではなく、特定の大学の循環器内科や心臓血管外科などといった診療科が忠誠心の対象となります。それは武士の「御恩と奉公」みたいなもので、医局は労働力を差し出す代わりに勤務先、スキルアップのカリキュラム、学位取得などキャリアパス含め面倒を見てくれます。
なお、いろいろな病院にある常勤医師の控え室も「医局」といいますが、ここではその話はしません。混同しませんように。
大学の医局では、当然その大学を卒業した医師が多いものの、他の大学を卒業してから入ることも可能です。いわゆる「入局」です。
多くの場合、勤務したい土地の大学医局に入局します。いわゆる旧帝大をはじめとする有力大学が中心市街に多く立地するため、どうしても「弱小大学」出身者が有力大学の医局に入るケースが多いのですが、居住地域や有名教授に憧れて移動するケースもそれなりにあります。そういう意味で機会は開かれていますが、入局後は若干扱いに違いが出るようです。