多浪や再受験は地方の病院へ「派遣」
あくまで伝聞的な話ですが、たとえば京都大学や東京大学の医局に入ると、有力な関連病院には自校出身者が「派遣」される傾向があり、他大を出て入局した人が地方の病院を転々とするといった話は聞いたことがあります。
また、自校出身でも、多浪や再受験などで入った人も、都会から離れた病院に「派遣」されることがあるといいます。これは再受験で「鉄門」、東大理3に入って医学部を出た人に聞いた話。これは実力、ポテンシャルを見ているのか、身内贔屓的なものなのかは判断が分かれるところではあります。
なお、ここで括弧をつけて「派遣」と書いたのは、労働者の派遣は、本来は厚生労働省の許認可が必要であり、自分の医局に所属する医師を関連病院に勤めさせるのは、あくまで本人や病院の自主性によるものという建前があるためです。医局からの医師派遣は、あくまで「バーチャル」なものであり、本当に派遣しているわけではありません。
卒業生や医局員が勤務しており、人事的に医学部の講座(外科とか内科とか。いわゆる医局)の意向を受けて医師が勤務する病院を関連病院といいます。「関連病院」の定義は明確なものではなくて、卒業生が勤務しているわけではありませんが、要請を受けて医師を派遣することもあり、結構曖昧だったりします。
関連病院の数は大学によって大きな差がある
あと、病院全体がある大学の関連病院というところもありますが、科によって違うということも普通にあります。
この「関連病院」の数は、旧帝国大学など古い大学になればなるほど多い。東大や京大などは、広域に関連病院を持っています。中国地方の岡山大学などは圧倒的です。中国地方から四国まで、病床数の多い病院の多数を関連病院にしています。
ちなみに私の出身の神戸大学は、戦中にできた大学で、すでに80年近い歴史がありますが、近畿には京大や阪大、京都府立医大そして岡山大学など、より長い歴史を持つ大学があるため、兵庫県を中心とした比較的中規模病院が関連病院の大半で、数も比較的少ないといわれています。それでも数十はあるので、困ることはないようです。
ところが、私が8年近く勤務していた近畿大学には、関連病院はほとんどありません。分院である近大奈良病院などに限られています。もちろんそれでは困るので、他の大学出身者が主体の病院に頼み、医師を派遣させてもらったりしています。