ユーグレナとの出合い、そして、一生の仕事に!

バングラデシュで私が驚いたことがもう一つあります。

実際に訪れてみるまで私は、バングラデシュはとても貧しいから、人々はみんな、ひもじい思いをしているんだろうなと思っていました。

ところが、実際はまったく違っていました。バングラデシュの人々は、毎日、大盛りのカレーをたらふく食べているのです。日本人が食べる米の量は1人年間約50kgですが、彼らは180kg以上も食べています。

ただし、そのカレーには、具が何も入っていませんでした。塩と香辛料だけでつくった、いわば「素のカレー」です。電気が通っていないので冷蔵庫がなく、肉、魚、野菜などの具を入れられないのです。

そのせいでバングラデシュの人々は、極度の栄養不足に陥っていました。たとえば暗くなると極端に視力が落ち、夜にケガをする人がたくさんいます。これはビタミンAが欠乏しているからです。子供たちの成長も悪く、病気にもなりやすい。

実はこういったことは、バングラデシュに限らず多くの貧しい国々で共通して見られる現象です。彼らにとっての困難は「ひもじさ」ではなく、「栄養不足」なのです。

本郷中学校・高等学校の社会部生
撮影=岡村智明
本郷中学校・高等学校の社会部生

そのことを知った私は日本に帰ると、どうしたら貧しい人々の栄養問題を解消できるのかを調べ、いろいろな人に聞いて回りました。そこで出合ったのが、微細藻類のユーグレナです。私が大学3年、20歳のときです。

ユーグレナ。動物と植物の両方の性質をもった植物プランクトンで、ワカメなどと同じ藻の一種です。当時の私の知識はその程度でしたが、「動物と植物、つまり肉と野菜か」とひらめいて、「ユーグレナの研究を一生することになるな」と思ったことを覚えています。

ユーグレナについて教えてくれる教科書はほとんどなかったのですが、私が一冊だけ見つけたのが、北岡正三郎先生が書かれた本です。ユーグレナは植物の栄養素と動物の栄養素の両方、人間に必要とされる59種類もの栄養素をもっている理想の食料源――北岡先生はその本の前半で思い切り盛り上げています。

ところが、最後にガラリと変わります。「こんな素晴らしいユーグレナですが、その大量培養の仕方は、誰にもわかっていません」と終わるのです。(以下、後編へ続く

(構成=金子聡一)
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