休み明けに痩せて登校する子どもたち

新型コロナウイルス感染症拡大に伴う学校の一斉休業(2020年3月~)の際には、学習の継続が学校の最重要課題となり、他方で家庭の方は子どもの世話役の確保や家庭での光熱水費・食費の急上昇などが話題に上った。学校も保護者も大変な期間だったが、子どもに視点を移すと、家庭に閉じこもるように数カ月を送ることを余儀なくされたことで、彼らの健康状態が問題として急浮上したように思う。

もともと、学校給食が食べられない長期休み明けになるとガリガリに痩せた子が登校してくる、という話は、学校現場でよく聞かれていたが、休みが長期化したうえ、ロックダウンのため簡単に買い物にも行けない状況が続いたためだろう。食事をろくにとれない子や、手軽に腹を満たせるジャンクフードばかりを食べている子もいた。分散登校が始まると、久しぶりの友人との再会に喜ぶ子どもたちの中に、痩せた子、太った子を見つけ、驚いた教職員もいるという。

周知のとおり、この学校の一斉休業は保護者の労働にも影響を与え、中には家計が急変した家庭もあった。加えて、そこにウクライナ情勢に伴う円安・物価高騰が押し寄せてきたのだ。

例えば、2021年9月から2022年9月までのたったの1年間で、食用油1リットルの価格は、実に342円から485円へと、1.42倍の急上昇をしている(「小売物価統計調査(動向編)」2021年9月、2022年9月)。その後、卵も鳥インフルエンザの影響も相まって小売価格が平年比43%上昇している(農林水産省「食品価格動向調査(食品鶏卵)令和5年(2023年)6月【6月12日~6月14日】」)。

困窮世帯の親の半数「子どものために食事を減らす」

このような状況下で、困窮世帯を対象にしたNPO法人キッズドアのアンケートは衝撃の結果を伝えている。「子どもに食べさせるために親の食事を減らしたり抜いたりしている」との回答が49%にも上ったのだ。

実際に、保護者は1日1食しか食べない人が17%、1日2食の人が47%にも及ぶ。子どもについては1日3食が68%であり、いかに保護者が子どもに優先的に食事をさせているか、そして再開した学校給食がいかに困窮世帯の子どもにとって重要な意義があるかがわかるだろう(NPO法人キッズドア「2022年物価高騰の影響把握のための緊急アンケート」2022年11月28日)。

さらに本年6月の同団体の調査では「1人当たりの食費が月1万円以下(1食当たり110円以下)の世帯が4割」という結果も出ているという(同「2023夏 物価高騰に係る緊急アンケート レポート」2023年6月26日)。経済的に厳しい家庭の多くの子どもたちは〈食の危機〉に陥っている。