日本のレストランもランキング上位

日本のレストランもランキングの上位にはいくつも入っています。2022年7月にロンドンで発表されたランキングでは、20位に日本料理「傳」(東京)、30位にフランス料理「フロリレージュ」(東京)、41位にフランス料理「ラ シーム」(大阪)、45位にイノベーティブ料理「ナリサワ」(東京)が選ばれました。

日本のレストランがはじめて50位以内へ入ったのは2009年の「ナリサワ」でしたが、今年は過去最高の4店舗がランクインしただけでなく、傳は2022年3月に発表された「アジアのベストレストラン50」でもトップになっており、世界ランキングでもアジア圏1位でした。続く2023年のランキングでは、フランス料理「SÉZANNE」がアジア2位に輝いています(傳は4位)。

レストラン側は、フーディーの評価が順位に直結するだけに、彼らの評価には細心の注意を払っています。いっぽうフーディーも世界中の美味しいレストランをいち早く知り、そこに実際に訪れて、自分の高評価したレストランがランキング上位になることを無上の喜びとするのです。つまり、世界のレストラン産業にフーディーの動向がとても深く関わっているといっていいのです。

4年連続で日本人が「世界一の食通」

さらにいえば、世界のフーディーたちのトップに君臨するのは日本人だということはあまり知られていません。

世界のフーディーのトップを選ぶランキング「OAD Top Restaurants」レビュアーランキングで2018年から4年連続世界第1位となったフーディーは浜田岳文さんという日本人なのです。

浜田さんは1974年生まれ。高校までは日本でしたが、アメリカのイェール大学に在学中、学生寮のまずい食事から逃れるため、ニューヨークを中心に食べ歩きを開始したといいます。

柏原光太郎『「フーディー」が日本を再生する! ニッポン美食立国論 ――時代はガストロノミーツーリズム――』(日刊現代)
柏原光太郎『「フーディー」が日本を再生する! ニッポン美食立国論――時代はガストロノミーツーリズム――』(日刊現代)

外資系の金融機関に勤めたのち、現在はエンターテインメントや食の領域のアドバイザーを務めつつ、これまで世界約125カ国を踏破し、各地で食べ歩きを続けています。浜田さんは酒を飲まないため、彼の評価軸はブレないといわれており、それがトップフーディーとしての信頼を勝ち得たのかもしれません。

また日本で2021年からはじまった、わざわざ訪れたい地方のレストランを評価する「The Japan Times Destination Restaurants」の創設に携わっており、彼は選考委員も務めています。まさに世界中の食に光を当てるのが浜田さんの仕事なのです。

浜田さんの訪れたレストランのリストを見ると、まさに美食のために世界中を飛び回っていることがわかります。その彼が、実は世界の中で日本の食には高い評価をしているのです。

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