9年間で4分の3に減った高校球児

さらに、そこに「実力格差」の問題が出てくる。これが2つ目の問題だ。

硬式高校野球の競技人口は、2014年の17万312人をピークとして減少の一途をたどり、2022年は13万1259人と9年で23%も減少した。今年は13万人を切るのではないかといわれている。

100人近くの部員を擁し、全寮制で専用練習施設を持ち、全国から有望選手が集まって、連日猛練習をする強豪校がある一方で、合同練習は週1回程度、9人そろうこともままならないような連合チームもある。

2012年夏大会から日本高野連が「連合チーム」の参加を認めたことで、公式戦で、こうした対照的なチームが対戦することが出てきた。

そうした試合を担当した審判員は「強豪校の放つものすごい打球が素人同然の相手選手の横をすり抜けている。プレーの強度にも大きく差があり、勝敗以前にケガをしないかひやひやする」と漏らす。実力格差が開く一方で、金属バットによる事故の可能性はさらに上がっている。

部員が死亡した福岡県立太宰府高校の野球部は2007年から夏の甲子園の予選に出場しているが、通算では0勝15敗。一度も初戦を突破していない。練習試合の相手は明らかにされていないが、大きな実力差があった可能性もあろう。

なぜ猛暑の中で試合をするのか

3つ目は「猛暑」だ。

ボールによるケガのリスクとともに、問題視されているのが熱中症のリスクだ。夏の甲子園の予選は6月下旬からはじまり、7月、8月と続く。昨今の記録的な暑さの中で行われる試合が、選手の健康に及ぼすリスクは高まってきている。

1970年代には年間で30日前後だった真夏日(30度以上)は、2020年以降は50~70日に、2~3日だった猛暑日(35度以上)は、20日前後になっている。昔とは暑さのレベルが違うのだ。

https://www.data.jma.go.jp/toyama/kisyou_data/1_summer_stats1.html

温度計
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この数年、夏の甲子園のテレビ中継と同時に熱中症警戒情報がテロップで流れ、野外での運動に気をつけるように警告が流れるシュールなシーンも見られる。

夏の甲子園本戦では、両軍のベンチにはエアコンが設置され冷気が送られている。また水分補給の時間も設けられている。しかし、去年の夏の甲子園大会では、序盤から酷暑によるアクシデントが続出した。大会2日目に3選手が担架で搬送され、翌日にも3選手が足をつったり動けなくなる症状を訴えた。

当然ながら、予選をする地方球場のベンチでエアコン設備があるところは限られている。熱中症の症状を訴えるのは選手だけでなく審判もだ。

猛暑は熱中症だけではなく、選手の集中力を奪うため、ケガのリスクも増える。