結婚後に豹変「いびきがうるさい」「すっぴんが汚い」
これから紹介する事例は、一見モラハラに思えないかもしれません。たしかに、大声で怒鳴るような攻撃性はありません。しかし、自分勝手な言動で妻を振り回し、心をすり減らしていく点で、まさにモラハラなのです。
広告関連会社に勤めるI子さん(27歳)。新卒で入社してからの5年間、企画提案の部署で働いてきました。ある時、人事異動で営業部門に異動。
そこで出会ったのが、10歳年上の先輩社員、現在の夫です。
畑の違う部署からの異動。わからないことだらけのI子さんの業務を先輩としてサポートしてくれたのをきっかけに、交際へと発展。仕事のできる落ち着いた大人の男性と思っていた彼が、意外にも天真爛漫な性格だとわかっていくにつれ、そのギャップにさらに心惹かれたそうです。
聞けば、エスカレーター式の有名大を卒業して、父親は医師、良家に生まれた三兄弟の末っ子で家族仲は良好。そんな要素も「甘えん坊で、ちょっと頼りないところが可愛い」というギャップに見えて、「私が守ってあげなくちゃ」と思うようになった、と結婚に至った理由を振り返りました。
しかし、結婚生活が始まると夫の態度が豹変します。I子さんに「いびきがうるさい!」と怒りだし、寝室を別にすると言いだしました。驚いたI子さんは専門のクリニックにかかりましたが、診断結果は「気にするほどではない」とのこと。夫に報告すると、次は「すっぴんが汚い」と言いだします。I子さんは大変傷つき、寝る間際まで化粧をするように。
“かまってちゃん”な行動に嫌気
ある日、友人と飲んで深夜に帰ると、リビングに夫の姿がありました。I子さんを見ると「浮気してきたんだろ?」とだけ言い残し、寝室へ。翌朝、これ見よがしにスマホをいじっている夫に声をかけると、「僕も浮気相手を探すことにした」とマッチングアプリの登録画面を見せ、「ほら、スペックが高いから引く手あまただ」と自慢してきたそうです。
結婚前までは可愛いと思えていた夫の“かまってちゃん”な行動に、徐々に嫌気が差してきたのはこの頃から。それでもI子さんは、夫婦として話し合いを重ねて改善できれば、と思っていたそうです。が、話し合いの場すらもてないほど、夫の行動はエスカレートしていきました。
仕事はできる人だと思っていたのに、ちょっとしたミスを引きずっては家でグジグジ。I子さんは持ち帰った仕事にも取りかかれず、ずっと夫に寄り添っては話に耳を傾け、朝まで慰め励まし続けたと言います。