有名企業の公式サイトとよく似た「偽サイト」による被害が増えている。成蹊大学客員教授の高橋暁子さんは「ネットの検索結果やSNSで表示される広告への警戒心が低い若者がターゲットになりやすい。特にインスタグラム経由でだまされる人が多いようだ」という――。
クレカ情報をだまし取られてしまう被害も
消費者庁は4月、人気インテリア家具や雑貨等の公式通販販売サイトを装った偽サイトについての注意喚起を行った。ビーズソファの「Yogibo(ヨギボー)」、インテリア家具の「Francfranc(フランフラン)」、会員制量販店の「COSTCO(コストコ)」、暖房器具の「Aladdin(アラジン)」が例として挙げられている。
偽サイトへ誘導する手口は、InstagramやFacebookなどのSNS上の安売り広告や、検索エンジンで上位に表示された広告だ。ブランドロゴや商品写真を転用しているため、一見しただけでは偽物とは気づきづらいのが特徴だ。
国民生活センターによると、注文時にクレジット決済を求められてクレジットカード番号などの重要情報を入力してしまい、不正利用されたというケースも報告されている。
「目当ての商品が届かない」以外は本物そっくり
こうしたSNS上での偽サイトの手口は巧妙化している。サイトの閲覧中に「只今●●県からの○○は弊社の商品をご購入」とポップアップメッセージを表示して多くの人が利用しているように見せる。注文後には「発送の準備をしています」と返信メールを送ってきたり、配送状況を追跡できるURLを送ってきたりする。注文しても商品は届かないとか、商品は届いたけれど偽物だったとか以外は本物そっくりのため、だまされてしまうのだ。
偽サイト関連の全国の消費生活センターへの相談は急増。2021年度の5941件から、2022年度には1万1019件と約2倍となっている。
2022年1月~23年3月には、冒頭の4ブランドの偽サイトに関連した相談だけでも1462件寄せられ、このうち246件で合計316万円の被害が確認された。判明した個別の被害額は、最も多い事例で6万3200円に上った。