強風が吹いていると迎撃ミサイルを発射できない

悪いことに、北朝鮮からミサイルが発射された日、与那国町ではもう1つ問題が浮上した。ミサイルの飛来に備え配備されている陸上自衛隊のPAC3(地対空誘導弾パトリオット)の発射機が、台風2号の接近とそれに伴う強風の影響で畳まれたままだったのだ。

同町の糸数健一町長は、まさかの失態に「びっくりしている。個人的には甚だ遺憾なこと」と答えたが、石垣市(石垣島)でも、迎撃ミサイルの発射機が強風で倒れるのを懸念し、PAC3をスタンバイすることができなかった。

避難する場所がなく、強風が吹けば迎撃もできないようでは、防衛費を増額したところで住民を守ることができない。

沖縄県は、航空会社や船舶会社と連携し、有事の際には、与那国町や石垣市など南西諸島の住民と観光客合わせて12万人を、1日2万人ずつ6日間で九州方面へと避難させる計画に着手しているが、これも強風が吹けば大幅な変更を余儀なくされる。

北朝鮮だけならまだしも、中国が本気で台湾統一や沖縄県の尖閣諸島併合へと動く場合、日本の避難事情や台風などお構いなしに攻めてくる。その火の粉が与那国島をはじめとする南西諸島にも降りかかれば、多くの犠牲者を出すことになる。

米共和党ではトランプ氏が最有力候補に

(2)トランプ氏が勝つかもしれないというリスク

2つ目のリスクは、来年11月に行われるアメリカ大統領選挙の行方である。

このところ、ホワイトハウス奪還を目指す共和党では、ニッキー・ヘイリー元国連大使(51)、フロリダ州のデサンティス知事(44)をはじめ、前ニュージャージー州知事のクリス・クリスティー氏(60)、マイク・ペンス前副大統領(64)らが、相次いで候補者指名レースに名乗りを上げている。

ただ、共和党予備選挙を想定した世論調査では、最初に名乗りを上げた前大統領、ドナルド・トランプ氏(77)が50%以上の支持率を保ち、25%前後にとどまるデサンティス氏以下、ほかの候補者を大きく引き離している。副大統領経験者のペンス氏でさえ現状では泡沫候補に近い。