80歳のバイデン大統領は失態が続いている

トランプ氏に関しては、不倫口止め問題、機密文書持ち出し問題、そしてアメリカ議会襲撃事件問題など、裁判の展開次第では支持率を押し下げる要素もあるが、「反トランプ」を掲げる候補者が乱立したことは追い風になる。

高い知名度、そして何より、5億ドル=約700億円程度は必要とされる選挙費用を賄えるという点において、現状ではトランプ氏が共和党の候補者になる可能性が高い。

2016年ならびに2020年の選挙結果から分析すれば、共和党支持者は3派に分類することできる。内訳を数字で示すなら、トランプ氏を推す岩盤支持層が3割から4割、反トランプ派が約1割、中間層が5割余りといったところだろうか。

トランプ氏を引きずり降ろしたいデサンティス氏らからすれば、この割合は、反トランプ派の票を取り込むだけでは勝てず、中間層やトランプ氏の岩盤支持層からも票を引きはがす必要があることを意味している。これは至難の業だ。

そうなると、2024年の大統領選挙は、再び、「バイデンVSトランプ」という構図になるが、現在80歳のバイデン大統領は、G7広島サミット直前の日米首脳会談で、岸田首相を「岸田大統領!」と呼び間違えた。また、アメリカ・コロラド州での空軍士官学校卒業式でも、スピーチ後に転倒するという失態を演じている。

「トランプ大統領再来」の4つの危険

高齢に起因する健康不安説が広がれば、第2次トランプ政権が本当に実現するかもしれない。トランプ氏が勝ちそうになれば、私たちは以下の4つのリスクにも備えなければならない。

ドナルド・トランプ米大統領(当時)は、2019年6月29日、大阪で開催されたG20日本サミットで、二国間会談の開始時に中国の習近平国家主席と合流(写真=ホワイトハウス公式写真/Wikimedia Commons)
ドナルド・トランプ米大統領(当時)は、2019年6月29日、大阪で開催されたG20日本サミットで、二国間会談の開始時に中国の習近平国家主席と合流(写真=ホワイトハウス公式写真/Wikimedia Commons
①中国に対し、バイデン政権よりも強硬な手段に出る危険性

バイデン政権の対中政策は、同盟国や友好国と歩調をそろえてのデリスキング(抑止によるリスク回避)。中国との貿易戦争をエスカレートさせてきたトランプ氏の場合は、デカップリング(関係切り離し)に舵を切る可能性がある。その場合、中国との紛争リスクが高まる。