新潟・長岡発祥の鮮魚店「角上魚類」は、都内にも店舗を展開している。東京海洋大学非常勤講師のながさき一生さんは「角上魚類はたくさんの店員を配置し、対面接客するのが特徴だ。人件費をあえて掛けるという経営は、魚の小売では非常に効率的で、繁盛するのも納得だ」という――。
※本稿は、ながさき一生『魚ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
繁盛している「角上魚類」は何が違うのか
昨今の魚離れの状況の中、業績好調を維持し続けている魚屋があります。その1つが関東や信越地区を中心に22店舗を展開する「角上魚類」です。
角上魚類は、新潟県長岡市寺泊に本社を構える魚屋で、店舗によって年末ともなれば午前3時前から行列ができる人気店です。テレビでも度々取り上げられ、その日に揚がった新鮮な魚介が安い値段で売られている様子が伝えられています。
このように、角上魚類が繁盛しているのはなぜなのでしょうか。これは、売上が芳しくないとされる一般的なスーパーの魚売り場と比較をすると一目瞭然です。ここからはそのポイントを3つに分けてお伝えしましょう。
魚に詳しい店員と会話しながら買い物する
①対面コーナーが充実している
第一に角上魚類は、対面コーナーが充実しています。対面コーナーとは、魚を置いて店員がお客と相対しながら販売をする売り場です。
角上魚類は、どの店舗にも必ずこの対面コーナーがあります。そこでは、日々違う魚が、基本的に丸魚の状態で、パック詰めされずに置かれています。
対面コーナーの良いところは、魚に詳しい店員とコミュニケーションを取りながら買い物ができるところです。分からないことがあれば聞いたり、店員側からもおすすめの魚や食べ方の提案を受けたりすることができます。日々、違う魚が入荷する点も楽しく、嬉しいところです。
一方で、一般的なスーパーの場合は、魚がパックに入れられて、ただ置かれているだけです。これでは、魚の知識が相応にないとどうやって食べて良いかが分かりません。また、様々な魚の中から今日は何を買うべきなのかが分かりません。