実験で判明した最も効果的なキャッチフレーズ

「誰もが成功の種を探していますが、失敗の種が見つかる場合がほとんどです」と、ビークマンは私たちに語った。「たしかに、何が成功するかを知るほうが重要ですが、失敗することを知るのも、次に何を試すかについての判断と直感を形成するのに役立ちます」

ビークマンは、マーケティングに関するさまざまなやりとりをしながら、どれが最も消費者の心を捉えるかを把握しようと努め、やがて「蝶結びなし、リボンなし、ボンボン飾りなし」というキャッチフレーズにたどりついた。彼の考えでは、それは「正解」ではなかったが、データには逆らえなかった。

ビークマンは、販売のあらゆる面に自信がもてるようになるまで、来る日も来る日も、広告コピーや価格の微調整を続けた。自分が一番よくわかっているとは思わずに、何を望んでいるかを市場にみずから語らせたのだ。

驚いたことに、実験によってわかったのは、競合品を揶揄するのが非常に効果的であるということだった。この会社の「お見舞いバスケット」に関する、ランディングページに載せる最も効果的なキャッチフレーズは、「彼にギフトバスケットを贈ってはいけない。彼はすでに具合が悪いのだから」というものだった。

2016年に最も急成長している企業51位

ビークマンは、どれだけの数の箱をいくらで売れるかがわかっていて事業を始めたので、必要な在庫量は簡単に計算できた。だが、そこでやめる必要があるだろうか? ビークマンはいまでも折に触れて、新製品を「ゴースト・クレイツ」として発売している。

顧客はそれをショッピングカートに入れるたびに、不都合の埋め合わせとしてディスカウントを提供された(取引を成立させてから、取り消す必要はもはやなかった。ビークマンは、箱をカートに入れることが、データを集めるための購入と密接に相関していることを実験で確認していたからだ。ただしそれは、すべての事業にあてはまるわけではない)。

実施中の実験は、マン・クレイツが、商品化の決定においてはめったに失敗しないことを請け合っている。マン・クレイツは顧客重視の学習手法を使って急速に成長し、2016年の「最も急成長している企業500社」の51番目の企業となった。ビークマンは現在、別の領域で新しいスタートアップを立ち上げている。彼がどんなふうに取りかかっているかは、おそらくあなたにも想像がつくことだろう。