かつてほど極端な円高にはならない

ただ、世界経済の現状を見ると、もし今後リスクオフ局面を迎えたとしても、リーマンショック時ほどの極端な円高にはならないと思います。

私の新刊『世界インフレ時代の経済指標』(かんき出版)でも取り上げましたが、世界経済のデカップリングが進めば、ドルの需要がむしろ高まっていくと見ています。

世界では米中の対立、欧米諸国と中国・ロシアの対立が深まっています。

その中で、中国に対して先端半導体を販売しないなど、経済のデカップリングがさらに進んでいます。

その結果、企業はこれまでのように中国で製造できなくなるのです。

「デカップリング」はドル高要因

中国はこれまで安く製造するための拠点、つまり「世界の工場」として、ある意味でデフレを輸出してきました。

その中国と切り離されるということは、製造コストの上昇が避けられないということです。これはさまざまなモノの値段を押し上げます。

つまり、デカップリングが続く限り、今後も世界のインフレ傾向は続くのです。

インフレが続く以上、アメリカの金融当局は当然利上げ方向に動かざるを得ません。

FRBの政策金利が高止まりすれば、世界の資金がドルに集まりやすくなるので、ドルが買われやすい状況が続きます。

ベースにこのような状況があるため、リーマンショックのような暴落が発生した場合でも、そこまで極端な円高にはならないと考えています。

米国と中国国旗
写真=iStock.com/ffikretow
「デカップリング」はドル高要因(※写真はイメージです)