円が暴落しにくい通貨である理由
このように、ドルが買われやすい相場環境ではあるものの、長期的に見て、1ドル=140円、150円は、やはり円安に振れすぎていると思います。
なぜか。円という通貨はそもそも暴落しにくい通貨です。なぜなら日本は「対外純債権国」なのです。
日本が海外に持つ資産額から負債額を差し引いた「対外純資産」は、22年末の時点で約418兆円と過去最高になりました。
このため日本の投資収益はGDPの約1割、50兆円にも達します。いま「日本人はもっと投資しなければならない」と言われていますが、そもそも日本という国は「投資国家」です。世界の隅々までジャパンマネーであふれているのです。
何かが起これば円は買い戻される
もしリスクオフイベントが発生したら、世界中のリスク資産に投資されていた日本人のお金が、より安全な資産、つまり「円」に向かいます。
だから、世界経済になにかが起きた場合でも、円が暴落することはないのです。むしろ円が安全資産と見なされ、大きく買い戻されることになります。
2011年に発生した東日本大震災のあとも、円が大きく買い戻されました。
「大地震があったため、日本が海外に持っている資金が復興のため国内に戻る」という思惑が広がり、円が買われたのです。
このときはあくまで一時的な動きでしたが、日本円の強さを示す一つの材料だと思います。