OBになった時の「勤め口」に困らない
・資金運用と福祉施設
【花澤】それで、いよいよこの法律ができるということになった時、すぐに考えたのは、この膨大な資金の運用ですね。これをどうするか。これをいちばん考えましたね。
この資金があれば一流の銀行だってかなわない。今でもそうでしょう。何十兆円もあるから、一流の銀行だってかなわない。これを厚生年金保険基金とか財団とかいうものを作ってその理事長というのは、日銀の総裁ぐらいの力がある。
そうすると、厚生省の連中がOBになった時の勤め口に困らない。何千人だって大丈夫だと。金融業界を牛耳るくらいの力があるから、これは必ず厚生大臣が握るようにしなくてはいけない。
この資金を握ること、それからその次に、年金を支給するには二十年もかかるのだから、その間何もしないで待っているという馬鹿馬鹿しいことを言っていたら間に合わない。
「どんどん使ってしまっても構わない」
戦争中でもなんでもすぐに福祉施設でもやらなければならない。そのためにはすぐに団体を作って、政府のやる福祉施設を肩替わりする。社会局の庶務課の隅っこほうでやらしておいたのでは話にならない。これは強力な団体を作ってやるんだ。
それも健康保険協会とか、社会保険協会というようなものではない、大営団みたいなものを作って、政府の保険については全部委託を受ける。
そして年金保険の掛金を直接持ってきて運営すれば、年金を払うのは先のことだから、今のうちどんどん使ってしまっても構わない。