有給休暇の制度があるだけでは意味がない
有給休暇を100%消化できる企業は、それほど多くないでしょう。会社の人事制度に十分な有給休暇日数があるということと、実際に休みを取ることができるというのは別の話です。
有休を取る権利はあっても、忙しくて取れない、または職場の雰囲気で取れないということがあります。働き方改革が叫ばれて、以前よりは休みを取りやすい環境になっていますが、それでも100%消化は難しいでしょう。
そこで、『就職四季報』では、就業規則上の有給休暇の日数ではなく、1年間に実際に消化した有給休暇の日数を掲載しています。その日数が「有休取得年平均」です。
【有休取得】(図表2の⑥)の右側の数字が規則上取得できる有給休暇日数で、左側の数字が実際に消化した日数です。
国内で企業が従業員に付与した有給休暇の平均日数は17.6日ですが、従業員が実際に取得した日数は10.3日です(2022年就労条件総合調査・厚生労働省)。
多くの年収を得て、多くの有給休暇を消化できれば社員はゆとりある生活を送ることができます。そして、こうした状況を作ることができる企業もゆとりがあると言えます。ゆとりある企業とは、経営力が高くて収益を上げている企業です。
平均年収と有休取得年平均の多い会社は、ビジネス対象としても投資先としても優れています。
1カ月の残業時間を比べてみる
「残業(月)」(図表2の⑦)欄に1カ月の残業時間が掲載されています。労働基準法によって労働時間は1日8時間、1週間40時間以内と定められています。本来は、会社はこれ以上労働させてはいけないのです。
しかし、これでは実際に業務が成り立たないので、会社と労働組合が協議して残業時間を設定しています。ただ、協議をすれば何時間でも残業させていいということではありません。
上限は1カ月45時間、1年間360時間と決められており、これを超えたら労働基準法違反です。
1カ月45時間というと1日約2時間、30時間としても1時間超の残業時間となります。企業が労働者に残業をさせた場合、25%以上の割増賃金を支払わなければなりません。