平均勤続年数を見れば「居心地のいい会社」かわかる

居心地のいい会社ならば、社員はなかなか辞めません。居心地のよさを表す指標が【平均勤続年数】(図表1の②)です。企業のホームページやパンフレットに「温かい社風」「家族的な経営」などと書かれていることがよくあります。しかし、こんな抽象的な表現では実態が分かりません。

居心地のよさを知りたいのならば【平均勤続年数】をチェックしましょう。

ただ、平均勤続年数が長いということは、長期間、固定的なメンバーで働いているということです。こうした企業は、保守的で新事業への意欲に欠けていることがあります。こうした企業にビジネスを持ちかけた場合、なかなか返事がこないかもしれません。

新入社員が3年以内で退職してしまう会社は要注意

「3年後離職率」(図表1の③)は、3年前に入社した新卒者が3年間でどの程度辞めたのかを表します。「3年後離職率」は(3年前入社者-直近4月在籍者)÷(3年前入社者)×100で算出されます。

就職四季報』(2022年11月発行)の場合、小さな文字で書かれた「3.8」とは、2018年4月1日に入社した新卒社員のうち3.8%が2021年4月1日までに辞めたことを意味します。

大きな文字で書かれた「3.1%」とは、2019年4月1日に入社した新卒社員のうち3.1%が2022年4月1日までに辞めたことを意味します。

厚生労働省の職業安定業務統計によれば、就職してから3年間の離職率は大卒で約30%です。30%を超える企業は、何かしら問題があるかもしれません。30%を超える企業=ブラック企業というほど単純ではありませんが、注意してください。

ゆとりある生活を送れる会社か見分けるポイント

年収については『会社四季報』でも説明しましたが、『就職四季報』でも調べることができます。ただ、同じ企業でも『会社四季報』と『就職四季報』で金額が異なることがあります。これはどちらかの数値が間違っているのではありません。

会社四季報は工場労働者などのブルーワーカーも含めた全社員の平均年収を載せています。一方、就職四季報はホワイトカラー職の平均年収、または総合職のみの平均年収を掲載しています。そこで、金額が異なるのです。

建設機械総合メーカーのコマツの場合、就職四季報には806万円と掲載されていますが、会社四季報では747万円となっています。