積極的に使うべきシチュエーション

就職試験の場面では「志望動機をChatGPTに書かせるケースがある場合、学生の能力をどう判断するのか」に、各社は頭を悩ませるでしょう。

この点については、現時点でも企業の中には「自社を志望してきた学生を、AI判定でふるいにかける」ことをしてきていますから、ある意味ではお互いさまとも言えます。

これを機に、「判断をAIに任せて、本当に自社が求める人材を採用できたのかどうか」を、振り返ってみるのもひとつかもしれません。

もちろん、教育の場面でChatGPTを使うことの利点もあります。

多くの文章を読み込んでいるChatGPTは、自分ひとりでは思いつかないような多角的な返答をすることがあります。正しい指示を出せば、議論の相手やアイデアの発掘といった場面で助けになります。

これからの子供たちにとって重要なのは、「ChatGPTを使って楽をすることを覚える」のではなく、子供が自分の力で考えなければならない場面と、ChatGPTを使った方がいい場面とをきちんと分けられるようにする能力です。

これがおそらく、「新しい時代の情報リテラシー」になっていくでしょう。

「対話型AI」ではなく「文章生成AI」

子供や若い世代が「新しい時代の情報リテラシー」を備えるためには、まずは大人がChatGPTを理解しなければ始まりません。

そもそもChatGPTとはどういうものなのか。ChatGPTは「対話型AI」と言われますが、仕組みとしては文章生成AIです。

基本的にはたくさんの文章を読み込ませることで、元の文章の単語ごとのつながりを学習します。文章を生成する際には「確率的にこの単語の後にはこの単語が来る」と判断し、あたかも対話をしているかのような文章を生成しています。

つまり、文脈や意味を理解して「対話」しているのではなく、単語と単語を確立に基づいて並べているだけです。

「間違っています」と指摘すると「申し訳ありません」と返ってきますが、これも確率的にそう判断しているだけで、当然、ChatGPT自身が「申し訳ない」と思っているわけではありません。

「なぜ検索すれば出てくるような情報すら、ChatGPTは間違えるのか」も、文章生成の仕組みから説明できます。単語と単語を組み合わせているだけで、「意味」を理解しているわけではないからです。

また、ChatGPTは質問にも答えてくれます。それは教師の回答よりも質が落ちるかもしれませんが、わからないとき、知りたいとき、その場で答えてくれることは有用です。