《電話で早口で話す》
電話がかかってくる。落ち着きがなく、一方的にまくしたてるような電話は信用できないことが多いとプロの秘書は言う。私たちの日常生活でも経験することではないだろうか。電話セールスである。押し売りセールスはたいてい早口だ。声が高く、慇懃か、独特のバカにしたような口調のどちらかだ。
ホメ方が派手でやたらと愛想がよく早口でまくしたてる
私は以前、コールセンターの会社に勤務していた。そこでは優秀なコミュニケーターほど、聞き取りやすい落ち着いた話し方をしていた。バカ丁寧なものの言い方をせず、顧客の話にしっかりと耳を傾け、双方向のコミュニケーションをとろうとする。彼らは商品知識が豊かで、売ろうとする商品に自信を持っているからだ。言い換えれば、伝えるべき内容に自信があれば、自然な口調で商品のよさをしっかり顧客に伝えようとする心理が働く。
反対に、不自然に早口な人は、伝える内容に自信がないといえる。アメリカの心理学者ポール・エクマンによると、人間は恐れると早口になるとされている(注2)。それに加え、あわてると声が高くなる。自分の魂胆を隠して、企業トップや政治家を利用しようと思っている人は、嘘がばれることをひそかに恐れているため、無意識に早口になるのだ。
《ホメ方がおおげさ》
アンジャッシュの渡部建さんは「お願い!ランキング」というテレビ番組で、ホメる技術を披露している。筆者は監修者として渡部さんの本の出版に関わったことがあるが(注3)、渡部さんはホメる前に、相手について徹底的に調べる。その努力には心底頭が下がった。渡部さんは事実に基づいて、堂々とホメている。ペテン師は、何の根拠もなく、いけしゃあしゃあとホメる。たとえば、こんなケースがあった。