自分の弱みを見せることは信頼の源になる

2つ目の「コストのかかる」シグナルは、「脆弱性」だ。

皮肉なものだ――私たちは、とかく初対面の人にいいところを見せようとしがちだが、これがとんでもなく間違っている。研究者たちは、自分のステイタスの高さを示すことは新しい友情を築くのに役立つどころか、害を及ぼすことを発見した。

またも営業成績を上げたり、リーダーシップを匂わせるには効果があるかもしれないが、「もう1人の自分」を見つけることは、いっそう困難になってしまう。

人びとは、自己開示にリスクがあることを知っている。コロンビア大学の社会学者、マリオ・ルイス・スモールの大規模な研究によると、私たちには、親しい友人より赤の他人に個人的なことを詳しく話す傾向が少なからずあるのだという。

嫌な人に個人的なことを明かして、弱みにつけ込まれたくはない。しかし皮肉なことに、私たちの脆弱性こそが信頼の源なのだ。

見知らぬもの同士がたった45分で親友になる方法

脆弱性を示すことは、自分たちがともに排他的なクラブのメンバーであることを伝える。あなたにとって、相手は特別な存在なのだ。心理学者のアーサー・アロンは、自己開示が「もう一人の自分」をつくり出すのに直接役立つことを発見した。アロンの研究では自己開示の結果、たった45分間で見知らぬ同士を親友にしたのだ。

エリック・バーカー『残酷すぎる人間法則 9割まちがえる「対人関係のウソ」を科学する』(飛鳥新社)
エリック・バーカー『残酷すぎる人間法則 9割まちがえる「対人関係のウソ」を科学する』(飛鳥新社)

自分の弱みを見せることは効果的であるだけでなく、じつはあなたが考えるほど危険なことではない。

心理学では、「美しき混乱効果」なる現象が実証されている。私たちは、自分の落ち度がどれほどマイナスに受け取られるかについて、つねに過大評価している。マヌケだと思われ、追放の憂き目に遭うかのように思っているが、調査によると、多くの人は、誰かがたまに失敗することを肯定的に見ている。

自分が何かをしくじると、無能だと思われるのではないかと不安になるが、他の人が同じ失敗をしたときにその人を批判することはめったになく、むしろ温かく迎えることが多いのだ。

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