エリザベス女王は昭和天皇に会うために地球を半周

日本では、マスコミによる皇室批判はなおタブーであるが、突然爆発して「みんなで渡れば怖くない」状態になるし、皇室の対応もスマートさに欠ける。戦前は宮中の人々、華族社会や政治家が皇室に諫言していたが、戦後はなくなり、マスコミも過度に慎重だ。

しかも、昭和から令和まで一貫して、その時々の両陛下には遠慮があるが、皇嗣に対しては常に厳しい。上皇陛下も今上陛下も皇太子時代はひどく誹謗ひぼうされたのに、即位後はアンタッチャブルになった。

(英国でも女王・国王には遠慮があり、他の王族に厳しいのは日本と同じであるし、さらに将来の皇位継承予定者に比べて弟などにはより厳しい。それへの不満が、ヘンリー&メーガンの反乱につながったが、日本と比べたら扱いに大きな差はない)

新年一般参賀で日章旗を振る人々
写真=iStock.com/brize99
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しかし、対外的な君主としても、国民の模範としても適度にネガティブな意見も聴くことを必要としているのは、むしろ両陛下であるはずで、常に女王・国王のふるまいが報道され、議論される英国の方が健全だ。

英国王室との交流でも、より突っ込んだ意見交換のできる関係を目指すべきだと思う。昭和天皇はジョージ5世から、エリザベス女王は昭和天皇から懇切な助言を受けて、「このために地球を半周して来た」と喜ばれたと記録にもある。

皇室・王室の存在をどう生かしていくか

皇室外交は、両国の友好を深めるためにも重要だが、君主やロイヤル・ファミリーが友情を深め学び合いアドバイスを受けるのも大事な目的だ。

 権力から超越した日本の皇室と、封建領主の延長線上にある英王室は、違うテイストをもつが、現代社会で世襲の君主制が共通してもつ価値や困難では共通しており、学び合うことは多い。

トランプの4人の王様とともに最後まで生き延びるといわれた英国の王室だが、世論調査では共和制を望む人も増えている。一方、日本の皇室は、皇位継承者や皇族の減少に悩んでいる。

しかし、皇室・王室の存在が日英両国の国際地位を高めるのにプラスに働いているのは間違いなく、それをどう生かしていくかは両国民にとっても大事な課題である。

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