平成から不均衡な日英交流が続いている
日英皇室・王室のやや不均衡な交流は考えものだろう。平成年間に両陛下が3度も訪英されたのに女王の訪日なし、2度の即位礼や昭和天皇の大喪にもフィリップ殿下やチャールズ皇太子を派遣されたという状況は、改善が必要だ。
チャールズ国王の戴冠式に両陛下ではなく秋篠宮皇嗣殿下ご夫妻が出席されることを残念がったり、英王室に失礼だとか言ったりするやからがいるが、アンバランスを甘受しすぎると世界から甘く見られる。
また、昭和天皇が仰ぎ見るような高みから暖かいまなざしを国民に注がれたのに対し、平成の陛下は国民の近くに降り立ち勤勉でストイックに全力投球を続けられた。
令和の陛下が家族を大事にし、国民にも負担をかけないということで公務やお出ましの量を整理されるなら、それもひとつの行き方である。皇室は普遍的にこうあるべきだというスタイルがあるわけでないから、令和の両陛下が平成の流儀と違うスタイルをとられることはかまわないと思う。
ただ、それぞれのスタイルが世界や国民から議論され、理解されたうえで支持されなければならないのは当然だ。
英国王室から学ぶ「世論との付き合い方」
きらびやかな宮殿で豪華な接待をすることは外国の賓客を喜ばすし、その国民も自国の指導者が重んじられたと満足する。王族がファッションリーダーとなることを国民は喜ぶし、国際的な発信力にもなる。あるいは、新しい価値観を体現したような生き方を社会的に認知させることにも貢献すれば評価されることもある。
ダイアナ妃の生き方には賛否両論があるが、人道支援やファッションのリーダーとしては素晴らしかった。日本でも、恋愛結婚が社会的に肯定されたのは、島津貴子さん(昭和天皇の第四皇女)の結婚が契機だったし、美智子さまと当時の皇太子殿下(現上皇陛下)の結婚は欧州王室での平民との結婚容認を後押しした。
英国王室は、世論の批判に試行錯誤を繰り返しながら対応して進化してきた。SNSを活用した情報発信でも先行している。エリザベス女王は、批判に直接は答えないことを方針とする一方、敏感かつ迅速に反応されたし、チャールズ国王も同様だ。
One week to go!
— The Royal Family (@RoyalFamily) April 28, 2023
As Their Majesties’ Coronation draws closer, a new picture has been shared of The King and The Queen Consort in the Blue Drawing Room at Buckingham Palace. Taken by Hugo Burnand. pic.twitter.com/rECK5i04hK