うれしくなる声かけのコツ

①と②について、もう少し詳しく解説します。

2ミリ幅ではなく5ミリ幅になると、針を刺す回数がもう全然ちがいます。

緑の葉と赤いテントウムシのフェルトの柔らかいおもちゃを作る子
写真=iStock.com/Kyryl Gorlov

時間を細かく区切り、かつ休憩も提示されているので、長く集中することや体力がない子どもたちも取り組みやすくなります(これが①コストを減らす工夫)。

そして、やみくもになみ縫いをするのではなく「大好きなキャラクター」が完成していくほうが、当然モチベーションが上がります。縫って終わりではなく、持ち帰ってコースターとして使えるほうがたのしく作業に取り組めます。

また、作業の途中に、

「縫うところをよく見て、丁寧に縫えてるね」
「足の部分が完成したんだ!」

など、子どもがうれしくなるような声かけをしていくと、なおグッドです(これが②うれしい気持ちを大きくする工夫)。

これらの工夫で「コスト<うれしい気持ち」として活動に取り組めた子どもたちは「またやりたい」と感じてくれるのではないでしょうか。

もちろん、サポートの方法や課題設定、もしくは休憩時間のサイクルやごほうびまで、子ども一人ひとりの「ちょうどいい」を探すのは簡単ではありません。

簡単すぎず、むずかしすぎず。楽すぎず、しんどすぎない課題。

子どもの様子をよく見ながら、「ちょうどいい」を目指して少しずつ修正を重ね、「またやりたい」をゆっくりつくっていきましょう。

「宿題」をやりたくするには…

それでは、実際に寄せられた具体的なお悩みに沿って、この観点から考えていきましょう。

お悩み:『学校から帰宅後、ボーッと動画を見るだけで宿題をやりたがらず、声をかけてもなかなか動こうとしません。』

歯みがきがめんどくさいのは、歯ブラシを口に入れるまで。

人間は、やりはじめないとやる気が出ません。

このお悩みでは、はじめに取り組めそうなアプローチを考えていきましょう。

たとえば、宿題が「30問の計算問題を解く」だった場合。

まず「はじめの5問」を解くことにフォーカスしてみます。

30問の問題を解く → 1時間動画を観てもオッケー

ではなく、

5問の問題を解く → 10分動画を観てもオッケー

を繰り返します。

ポイントは「30問の問題を小さく分解して、取り組めるところから取り組むこと」です。極端な話、ひとつ問題を解いたら動画を見るのでもいいでしょう。その子に合わせた取り組み方や、ごほうびとのバランスを探ります。

とにかく「手を止め続ける」時間を短くしていくイメージです。