CASE3 セックスレスを問題視しない夫
現在、離婚すべきかどうかで悩んでいるのは結婚17年目のS美さん(44歳)。1歳年下の夫との間には、中学生の子どもがいる。
「もともと夫は無口なタイプ。子どもが小学校の低学年くらいまでは、夫婦の会話もなんとかあったものの、塾に通うようになって、中学校に進学してからは事務的な話をするだけ。私から話しかけないと、夫は何日でも黙っていられるような人なんです」
それでもS美さんは「積極的に自分から話しかけることで、夫婦関係をよくしなければ」と夫に話しかけていたとのこと。ところが、それも3年前までのことで、今は「夫婦として完全に終わった」という。
大きな理由は「セックスレス」。
「私たち夫婦は、子どもが生まれてから一度もセックスをしていません。私はもうひとりくらい子どもが欲しかったのですが、夫が『ひとりで十分』というので、その意見を尊重しました。でも、子どもをつくらないのとセックスレスとは別の話。私は夫と定期的にセックスをするような円満な夫婦関係を望んでいたし、『私以外の女性とならできるの?』『もう一生、セックスをしないの?』などと本気で悩んでいたんです」
悩みに悩んだS美さんが出した結論は、「セックスについて夫ときちんと話し合う」ということだった。
「私の思っていることを率直に伝え、彼の本音も聞かせてほしいと思ったんです」
そんなS美さんの胸の内に対し、夫の返答はじつにそっけないものだったという。
「『そういうの、もうやめにしないか。S美は家族だから、もうそういうことはオレにはできそうにないんだ。たかがセックスのことでそんなに深刻になるなんて、ちょっと恥ずかしいよ。S美はそんなにしたいの?(笑)』とはぐらかされてしまったんです」
S美さんは恥ずかしさと悲しさで絶望したという。
「もう用事がない限り、私から夫に話しかけることもないでしょう。夫にセックスを期待するのは無理だとわかったものの、それだけじゃないんです。妻の要望を聞き入れようとしない夫と、このまま夫婦としてやっていくことができるのかどうか。私には自信がありません」
現在、S美さんは夫とは同居を続けているものの「透明人間として扱っている」。
「私が無視していることに、いつ夫は気づくのか。そして、なぜ無視しているのかを考えてくれるのかどうか……。場合によっては、離婚を考えるタイミングなのかもしれないと思っています」