脳を癒すオキシトシンを出す方法

それともう一つ、有田秀穂先生が「脳内のストレス解消の秘薬」として紹介しているのがオキシトシン。これも脳内で分泌される神経伝達物質の一つで、脳内のストレス中枢を鎮める作用があります。つまり、オキシトシンが十分に出ると脳の疲れも癒されます。

オキシトシンを分泌する方法として、よく知られているのは「心地よいスキンシップ」です。

例えば、子どもと遊ぶ、ペットとたわむれる、心地よく誰かとおしゃべりする、など。あたりまえですが、おしゃべりといっても、頭をフル回転させなければならないような小難しい仕事の話などでは、疲労回復にはなりません。

大切なのは「心地よさ」です。運動も「ほどほど」が大事で、スキンシップも「心地よさ」が大事。疲労回復には、適度な刺激が大切なのです。

現代人の脳を刺激するスマホ、SNS

ところで、みなさんは今、手元にスマホがありますか? ほとんどの人が肌身離さず持ち歩き、こまめにチェックしているのではないでしょうか。

これは、脳を休めるという点では大問題です。TwitterやYouTubeのようなSNSにしても、ネットサーフィンにしても、リアルタイムで更新が続けられているので、半永久的にそれらの情報を追いかけることができます。

その間、脳は交感神経優位の興奮状態がずっと続くので、自律神経が疲れて脳疲労を起こす大きな要因になります。

夜にスマートフォンを使用する女性
写真=iStock.com/recep-bg
※写真はイメージです

脳を鍛える“脳番地トレーニング”を提唱する、医師の加藤俊徳先生も、著書『脳とココロのしくみ入門』でスマホ依存の問題に触れています。

スマホが手元にないと不安になるようだと危険。それは麻薬中毒やアルコール依存とまったく同じ依存症状のはじまりだ、と指摘し、なぜスマホを手放せなくなってしまうのか、その理由を解説しています。

脳は、あることをして楽しさを感じると、それを学習して繰り返す性質がある。スマホ依存もまさにその典型です。

スマートフォンにハマる脳は、ちょっと新しい情報に触れることを楽しいと感じる脳です。ニュースアプリ、SNS、動画サイトで絶え間なく更新される最新情報にわくわくするのです。

『イラスト図解 脳とココロのしくみ入門』より